種別 論文
主題 直流電流による鉄筋近傍へのNaイオンの集中とその後の再分散
副題
筆頭著者 宇田川秀行(電気化学工業)
連名者1 芦田公伸(電気化学工業)
連名者2 石橋孝一(電気化学工業)
連名者3 半田実(電気化学工業)
連名者4  
連名者5  
キーワード
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先頭ページ 829
末尾ページ 834
年度 1993
要旨 はじめに
海岸近辺等で飛来塩分を多量に受ける場所に位置するコンクリート構造物や冬期に道路に融雪剤を散布する地域にあるコンクリート構造物は、コンクリート内部に塩分が浸透し、鉄筋の腐食等の被害をもたらしている。この様な塩害を受けたコンクリート構造物を補修する場合、コンクリートにひびわれや欠落が発生した後で行われるのが一般的であり、しかも、ひびわれや欠落、鉄筋の発錆の箇所等のみ補修される。従って、劣化の根本原因であるコンクリート中の塩分の除去については、何ら処置がなされていない。最近、新しい補修方法として、コンクリートの内部鉄筋を陰極に、コンクリート表面に陽極を設置して、その間に直流竃流を一定時間流すことにより、コンクリート中の塩分を鉄筋周辺からコンクリートの表面外へ移動させる脱塩方法が開発されている。また、この方法において、現実にコンクリート中の塩分が移動することも報告されている。一方、コンクリート中に直流電流を流すことによる陰極付近の影響については、必ずしも明らかになっているとはいえない。本研究では、直流竃流を鉄筋コンクリート中に流すことによる鉄筋近傍のコンクリートについて、特にアルカリの濃縮によるコンクリートへの影響を調べるために、通電前後におけるNaイオン濃度、細孔径分布、自然電位、付着強度等を実構造物とコンクリート試験体を用いて試験したので、その結果を報告する。
まとめ
実構造物、および、コンクリート試験体を用いた今回の実験結果から、以下のことが言える。(1)実構造物において、コンクリート中に直流竜流を流した湯合、陰極である鉄筋周囲のコンクリート中のNaイオン濃度が増加する傾向がある。しかし、電流を停止した後は、時間の経過と共に、Naイオンの再拡散が起こり、安定域へ平均化していくことが確認された。(2)コンクリート中に電流を流すことによる細孔径分布への影響は、実構造物において観察されなかった。(3)鉄筋の自然電位は、コンクリート中に電流を流すことにより、一時的には卑の方向へ移動するが、電流を停止すると時間の経過と共に貴の方向へ移動し、不動態が形成される安定な自然電位域に達することが実構造物で確認された。(4)コンクリートと鉄筋との付着強度は、鉄筋の表面積当たり14A/m2以上で強度低下が観察された。
PDFファイル名 015-01-1139.pdf


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