種別 論文
主題 ニューラルネットワークによるコンクリート構造物の劣化評価
副題
筆頭著者 安田登(東京電力)
連名者1 白木渡(鳥取大学)
連名者2 松島学(東電設計)
連名者3 堤知明(東京電力)
連名者4  
連名者5  
キーワード
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先頭ページ 847
末尾ページ 852
年度 1993
要旨 はじめに
コンクリート構造物は従来メンテナンスフリーと考えられ、維持・管理のための施策がほとんど配慮されていなかった。しかし、実際にコンクリート構造物に生じている劣化現象を見ると、維持管理業務の重要性が再認識されるところとなっている。コンクリート構造物の一般的な維持管理の流れは、保守点検における調査結果に基づき劣化度を判定し、必要に応じて補修などを行なっている。補修を行うか否かは、構造物の状態(ひびわれ幅、ひびわれパターンなど)、構造物の重要度(経済性、社会性など)、耐用年数、補修の難易度を総合的に判断して決める。維持管理のうち、点検に関する研究・技術開発は多くみられ、近年は非破壊試験を含む各種検査方法が数多く開発されている。しかしながら、このうち劣化度の判定に関しては、調査が目視観察にならざるを得ないこともあり、技術者の判定には誤差・個人差や曖昧さが多分に含まれている。そこで本研発では、火力発電所のコンクリート構造物を対象にその点検のデータを用い、補修の判断要因である健全度の判定をニューラルネットワークを用いて行った。ニューラルネットワークは、あいまい性を持つデータも一般的な記号・数値データと同等に扱うことが可能で、しかも蓄積されたデータによりシステム自身が学習により進化するため、問題の定義等を与える必要がない、といった特徴があることより、健全度の判定といった複合的な問題を取り扱う場合のデータ解析に利用できると考える。なお本研究では、既存の火力発電所の劣化デー夕を基に別途構築されたコンクリート構造物設備診断データベースを利用しており、実際の設備点検業務の合理化に関してに有効と判断されれば、データベースのアプリケーションシステムとして現場ユーザー向けに整備することも検討している。
まとめ
コンクリート構造物の維持管理業務のうち、標準化の最も遅れた分野の一つと言える、健全度判定に関して、脳の働きを模擬して開発されたニューラルネットワークと言う新しい手法を利用して、システムの構築を試みた。その結果、点検技術者の実際の判定と本システムによる判定が9割近い精度で一致し、この種の判定には、従来の統計的手法と比較しても、ニューラルネットワークは有効な手法であることが示された。ただし、ニューラルネットワークによる判定手法は、パターン認識によるものであるため、判定をおこなう論理過程が明らかになっていない。将来、より合理的な健全度判定を行うために調査項目の見直しを考えると、判定内容を分析することが必要となってくる。従って、今後は、ニューラルネットワークの判断内容を解読して、判別分析や感度解析への応用も検討している。
PDFファイル名 015-01-1142.pdf


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