種別 論文
主題 NaCl溶液に浸漬した反応性骨材含有モルタルの膨張機構
副題
筆頭著者 竹内勝信(真柄建設)
連名者1 川村満紀(金沢大学)
連名者2 杉山彰徳(金沢大学大学院)
連名者3  
連名者4  
連名者5  
キーワード
15
1
先頭ページ 917
末尾ページ 922
年度 1993
要旨 まえがき
NaCl溶液中で反応性骨材含有モルタルの膨張は活発に進行する。しかし、NaCl溶液中に浸漬したオパール含有モルタルの細孔溶液中のOH-イオン濃度は浸漬後時間と共に急速に低下するので、NaCl溶液中で反応性骨材含有モルタルの膨張が助長されるという現象を、アルカリシリカ反応がモルタル中の細孔溶液のOH-イオン濃度に依存するという確立された概念によって理解することは困難である。また、オパール含有モルタルをNaCl溶液に浸漬するとその内部でOH-イオンを放出するような化学反応が生じているようである。一方、NaCl溶液中に長期間浸漬したオパール含有モルタル中に多量の塩化物含有エトリンジャイトおよびフリーデル氏塩が存在するが、この事がNaCl溶液中におけるモルタルの膨張と関係があるか否かは不明である。これらの事実は、アルカリ反応性成分およびアルカリシリカ反応生成物を含有するモルタルに外部からNaClが侵入するとき、モルタル中のセメントペースト相の組織または反応性骨材粒子内部で生じているアルカリシリカ反応のいずれかまたは両者において、変化が生していることを示唆している。エトリンジャイトの生成とNaCl溶液中におけるモルタルの膨張との関係については、石膏を含まないクリンカーのみからなるセメントを使用して作製された反応性骨材含有モルタルのNaCl溶液中における膨張挙動よりある程度明らかになる可能性がある。本論文は、NaCl溶液中における普通ポルトランドセメントおよびクリンカーを使用した反応性骨材含有モルタルの膨張挙動の相違を明らかにするとともに、NaClの侵入による細孔溶液の組成およびセメントペースト相の固体組織の時間に伴う変化を実験的に追跡することによって、NaCl溶液中における反応性骨材含有モルタルの膨張機構について考察したものである。
結論
NaCl溶液に浸漬した反応性骨材含有モルタル内部におけるエトリンジャイトの生成とモルタルの膨張の助長の関連性は、NaCl溶液中におけるセメントモルタルと石膏を含有しないクリンカーモルタルとの膨張挙動の相違により明らかになる可能性がある。しかし、本実験において使用したモルタルでは、ポルトランドセメントとクリンカー中のアルカリ量およびアルカリの存在形態が異なるために、NaOHの添加による調整によって作製された同一アルカリ/反応性骨材比のモルタルにおいても、両者間で細孔溶液中のOH-イオン濃度がかなり異なることが明らかになった。したがって、セメントモルタルとクリンカーモルタルとの膨張挙動の相違のみから、NaCl溶液中で反応性骨材含有モルタルの膨張が助長されるメカニズムを明確に示すことは不可能である。しかし、モルタル中に生成されるエトリンジャイトの量および細孔溶液中のOH-イオン濃度の経時変化を考慮に入れて総合的に考察した結果、次のような結論が得られた。(1)アルカリ/C.F.=0.15と0/20のモルタルを除いて、1N NaCl溶液浸漬中においてC.F.含有モルタルの膨張が助長されるのはエトリンジャイトの生成によるものではないといえる。(2)NaCl溶液浸漬後、C.F.含有モルタルの細孔溶液中のOH-イオン濃度は上昇することおよびNaCl溶液浸漬後90日まで約0.3mol/lという比較的高いOH-イオン濃度が保持されることより、NaCl溶液中に浸漬したモルタルにおいても、アルカリシリカ反応が促進される可能性が高い。(3)比較的多量のNaOHを添加することによって作製されたC.F.含有モルタル(アルカリ/C.F.=0.15および0.20)においては、アルカリシリカ反応だけでなくエトリンジャイトの生成も膨張量の増大に寄与している可能性がある。
PDFファイル名 015-01-1154.pdf


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