種別 論文
主題 現行の許容応力度設計法における部材強度安全率の評価
副題
筆頭著者 倉本洋(横浜国立大学)
連名者1 壁谷澤寿海(横浜国立大学)
連名者2  
連名者3  
連名者4  
連名者5  
キーワード
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先頭ページ 111
末尾ページ 116
年度 1993
要旨 はじめに
1981年に施行された現行耐震基準、いわゆる新耐震設計法では、周知のように一次設計と二次設計の二段階の設計(確認)が採用されている。一次設計は、基本的には従来の許容応力度設計法を踏襲したものであり、設計対象とする建築物が中程度の地震に対して使用上の支障が生じないことを確認することを目標としている。一方、二次設計は、特に地震に対して一次設計では網羅できない性状(層間変形角、剛性率・偏心率、保有水平耐力等)を種々の角度(設計ルート)から検討するものと位置づけられる。中でも保有水平耐力の算定および確認(ルート3)では部材の靱性に期待した(構造特性係数:Ds値)終局強度設計の概念が導入されており、新耐震設計法に関して特筆すべき点である。しかし、許容応力度設計と終局強度設計という二種類の設計法の併用によって、耐震設計の明解さを欠いている部分も少なくない。一般に、許容応力度設計法によって設計された建築物の保有水平耐力を算定すると、一次設計の設計用地震力レベル(標準層せん断力係数:C0=0.2)を上回ることはもとより、これより大きく設定されている必要保有水平耐力のレベル(C0=1.0、Ds≧0.3)を上回ることも珍しくない。この理由は、(1)材料強度の評価(安全率)、(2)部材強度の評価(算定式)、(3)構造規定、応力再配分、基準化等による余剰配筋の評価、(4)長期設計により決定される配筋の評価、(5)非耐震構造部材(スラブ、壁等)の負担強度の評価、(6)立体効果(直交梁、直交壁)の評価、等の方法が一次設計と二次設計で異なるためである。これらの要因のうちで、許容応力度設計法と終局強度設計法に内在する本質的な相違は(1)と(2)のみである。このことは設計技術者、研究者が経験的に理解していることではあるが、材料強度および部材諸量の組み合わせ、強度算定式の構成の相違等の複雑な要因が相侯って定量的な把握を困難にしている。そこで、本論では新耐震設計法における許容応力度設計の終局強度設計に対する安全率を部材強度レベルで検討する。具体的には、梁および柱の曲げとせん断、および耐震壁のせん断に関して、各設計用地震力レベルに相当する許容耐力と終局耐力を定量的に評価し、許容応力度設計法と終局強度設計法の相互関係を比較検討する。
まとめ
新耐震設計法における許容応力度設計(一次設計)の終局強度設計(二次設計)に対する安全率を部材強度レベルで検討した。許容応力度設計に基づく部材強度安全率は、終局強度設計によるものと比較して、(1)梁および柱の曲げ設計においては、許容曲げモーメントが釣合軸力比以上で決定される場合に大きくなる、(2)梁および柱のせん断設計に関しては概ね大きくなる、(3)耐震壁のせん断設計では極めて大きくなる、という傾向がある。特に、Ds値を0.3相当の値とした場合には、梁、柱および耐震壁のせん断設計は概ね許容応力度設計により支配されると言えよう。
PDFファイル名 015-01-2018.pdf


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