種別 論文
主題 RC部材の長期変形・ひびわれ幅に及ぼす環境条件の影響の検討
副題
筆頭著者 北條泰秀(宇都宮大学大学院)
連名者1 佐藤良一(宇都宮大学)
連名者2 氏家勲(宇都宮大学)
連名者3  
連名者4  
連名者5  
キーワード
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先頭ページ 359
末尾ページ 364
年度 1993
要旨 まえがき
磁気浮上式鉄道構造物のような構造物では経済的でかつ安全な高速走行を可能にするため、静的のみならず長期的な観点からも高い精度の変形制御が要求される。鉄筋コンクリート(RC)構造物の長期変形を高い精度で予測するためには、クリープ・乾燥収縮などの材料特性とそれを取り込んだ部材剛性の評価が不可欠となる。クリープ・乾燥収縮の主な予測式を環境条件の観点からみれば相対湿度(以下湿度)が主要因として取り上げられており、最近では温度の影響も考慮されるようになった。我が国では年平均湿度を基本としてクリープ・乾燥収縮を定めており、年平均湿度の相違から屋内と屋外で異なった値を採用している。しかし、平均的な湿度が同一であっても、湿度が変動する場合にはクリープが小さくなることが知られており、さらに屋外では日射や降雨に曝され乾湿の繰り返し作用を受けることもある。そのため、湿度変動や降雨の影響を無視して平均湿度だけでクリープ・乾燥収縮を評価することは、必ずしも適切とは言えないと考えられる。そこで本研究では、環境条件の相違として、温度20℃で湿度が60%または70%の恒温恒湿室、屋内および屋外の4条件を取り上げ、それらの条件の相違がコンクリートのクリープ・乾燥収縮およびRC部材の変形・ひびわれ挙動に及ぼす影響を実験的に検討し、さらに著者らが開発したRC曲げ要素の長期変形解析理論を用いて求めた計算値を実測値と比較して、RC部材と長期挙動に及ぼす環境条件の影響について考察した。
結論
本研究はコンクリートおよび鉄筋コンクリート部材の長期変形に及ぼす環境条件すなわち、相対湿度60%、70%の垣温垣湿室、屋内および屋外の影響を実験および解析によって検討したものである。本研究の範囲内で以下のことが結論として得られた。1)屋内のクリープ係数は、載荷日数350日で、平均湿度が66%と高いにもかかわらず、湿度60%の垣温恒湿室のそれとほぼ等しかった。平均湿度70%の屋外のクリープ係数は同湿度の恒温恒湿室のそれよりもおよそ40%大きかった。このことから、変動する温湿度は冬季より生じ始めたクリープを促進することが認められた。2)乾燥収縮はおおむね平均湿度に対応し、湿度60%の恒温垣湿室の値が最も大きかった。しかし、平均湿度が同じであっても、屋外の乾燥収縮ひずみは恒温恒湿室で得られた値のおよそ1/2であり、降雨の強い影響が認められた。3)圧縮部コンクリートひずみは恒温室60、屋内・恒温室70・屋外の順に大きく・物性値ともおおむね対応することがわかった。圧縮鉄筋が無い場合、一例を除き、解析値も実測値と同様な結果を示した。圧縮鉄筋が配置されている場合は、解析値は実験値を小さく評価し、その程度は変動温湿度下の方が高かった。これはコンクリートの応力履歴を考慮することの必要性を示すものと考えた。4)平均曲率も圧縮部コンクリートひずみと同様環境条件の影響が認められ、圧縮鉄筋がない場合は、本解析法により変動環境下にあっても比較的精度よく予測できた。しかし、圧縮鉄筋がある場合は小さく評価し、圧縮部コンクリートひずみと同様な結果が得られた。5)平均ひびわれ幅に及ぼす環境の差の影響は認められる場合があった。屋内外の平均ひびわれ幅の解析値は、実測での平均ひびわれ間隔を用いれば、実測値とかなり一致した。しかし、特に湿度60%の垣温垣湿室の場合に対しては解析値が過大に評価した。この原因の一つとして微細ひびわれの発生を指摘した。
PDFファイル名 015-01-2060.pdf


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