種別 論文
主題 途中定着部を有する既設鉄筋コンクリート部材のシート状連続炭素繊維によるせん断補強効果
副題
筆頭著者 宇治公隆(横浜国立大学大学院)
連名者1 山口隆裕(横浜国立大学)
連名者2 池田尚治(横浜国立大学)
連名者3  
連名者4  
連名者5  
キーワード
15
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先頭ページ 495
末尾ページ 500
年度 1993
要旨 はじめに
昭和53年の宮城県沖地震により一部の橋脚にせん断ひびわれが生じたことから、昭和55年制定のコンクリート標準示方書は鉄筋の途中定着についてモーメントシフトの考え方により定着長を伸ばすように改訂された。それにより、昭和55年以降に設計された構造物は十分な靭性を確保できるようになったと考えられる。しかし一方で、昭和55年以前に構築された構造物の中には、大規模な地震が発生した場合にせん断破壊を生じる危険性を有するものが存在すると推測できる。そこで本研究においては、途中定着部を有する梁・柱等の既設鉄筋コンクリート部材におけるせん断耐荷性能の向上を目的とするシート状連続炭素繊維(以下、CFS(Carbon Fiber Sheet)と記す)の補強効果について検討した。本実験では、途中定着部の曲げせん断ひびわれの発生およびそれに起因するせん断破壊の抑制効果を把握するとともに、途中定着部の連続鉄筋の応力度特性ならびにCFSによる鉄筋応力度の低減効果について検討した。
まとめ
本研究より明らかとなった事柄を以下にまとめて示す。(1)必要な定着余長を持たない途中定着においては、定着端部付近の広い範囲の連続鉄筋が降伏するため、これが脆性的なせん断破壊の原因となり得る。(2)CFSによる軸方向補強は、途中定着部の連続鉄筋の応力度を低減し曲げせん断ひびわれへの進展を抑制する。すなわち、途中定着鉄筋が受持つことのできない引張力をCFSの付着抵抗力で補うことにより連続鉄筋の降伏を抑制する。(3)CFSによるフープ方向補強は、曲げせん断ひびわれが発生した後から効果が発揮される。(4)定着端部の連続鉄筋の応力度は、CFSを鉄筋に置換えて計算することにより求まる。そこで補強に当っては、連続鉄筋の降伏を防ぐだけのCFSを計算により求め、軸方向に貼付ければよい。ただし、一方でCFSの最大付着抵抗力について検討し、付着抵抗力が必ずしも十分でないと判断される場合には、フープ方向補強によるせん断破壊の抑制に期待することになる。
PDFファイル名 015-01-2083.pdf


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