種別 論文
主題 PC多主桁上に設置した新素材を用いたRC版を有する緩衝構造の緩衝特性
副題
筆頭著者 菅田紀之(室蘭工業大学)
連名者1 中野修(北海道開発局)
連名者2 岸徳光(室蘭工業大学)
連名者3 三上浩(三井建設)
連名者4  
連名者5  
キーワード
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先頭ページ 941
末尾ページ 946
年度 1993
要旨 はじめに
近年、道路の落石防護施設や原子力発電所の諸施設ならびに危険物貯蔵施設等の衝撃的な荷重載荷に対する安全性を高めるための研究が盛んに行われている。著者等も、コンクリート部材の耐衝撃性に関する研究として、衝撃荷重が部材に直接作用する場合の衝撃応答性状に関する研究や衝撃荷重載荷による構造物の応答を低減させるための緩衝構造の開発を行ってきた。土木構造物に対する緩衝構造に関しては、従来より敷砂が用いられてきた。しかしながら、著者等の実験によれば、敷砂を通して構造物に直接作用する荷重が、衝突物の加速度より算出される衝撃力の2倍程度になることや分散性が悪いことが明らかになうている。このような敷砂緩衝材の欠点を克服するために、敷砂材およびEPS材(Expand Poly-Styrol)をそれぞれ表・裏層材、RC版を芯材とする三層緩衝構造を開発し、剛基礎上での実験によりその緩衝特性について検討してきた。芯材RC版に関しては、補強筋として鉄筋を用いた場合とアラミド繊維製FRP(AFRP)ロッドを用いた場合について検討を行っている。いずれの場合も敷砂に比べ緩衝性能、荷重分散効果とも著しく向上することが明らかになっている。特にAFRPロッドは軽量で非帯磁性の新素材であるが、その他鉄筋と比較して弾性伸びが約10倍、引張耐力が2.5〜3.4倍であり降伏点もないため、衝撃荷重の作用時間が延びることが明らかになっている。この特性は構造物との相互作用により、鉄筋を用いる場合に比較して構造物の応答値を低減する方向に作用するものと考えられる。本論文では、AFRPロッドを補強材とする芯材RC版を用いた三層緩衝構造の構造物に対する適用への信頼度を高める目的で、これを横締めした単純支持PC多主桁上に設置し、重錘落下による衝撃実験を行って、重錘衝撃力(重錘加速度に重錘質量を乗じて得られる衝撃力)とPC多主桁の応答歪波形を用いて緩衝特性に関する検討を行った。
まとめ
著者等によって開発された、新素材を用いた三層緩衝構造を構造物上へ設置した場合の緩衝性能を実証的に明らかにするために、単純支持PC多主桁上にその緩衝構造を設置し重錘落下による衝撃載荷実験を行った。本実験で用いた三層緩衝構造の表・裏層材はそれぞれ50cm厚の敷砂およびEPS材、芯材は厚さ20cm、補強筋比1%の複筋配置のAFRPロッドを用いたRC版である。三層緩衝構造を用い重量3tfの重錘を高さ30mから3桁に落下させた場合、桁の荷重分担率が30%以下になること、曲げモーメントの断面方向分布が均等化していること、および軸方向分布が等分布荷重を受ける場合に類似していることより、荷重の分散効果が大きいことが明らかになった。また、敷砂材を用いて高さ10mから落下する条件で算出された計算値と比較すると、重錘衝撃力は2倍以上の大きな値を示すにもかかわらず、桁の応答歪および曲げモーメントは1/2以下になり、大きな荷重低滅効果を持つことが明らかになった。2桁に重錘を落下させた場合には、3桁に落下させた場合の結果には劣るものの十分な荷重の低減、分散効果を持つことが明らかになった。以上より、AFRPロッドを補強材とした芯材RC版を用いた三層緩衝構造は、剛基礎上における実験結果同様、敷砂材に比較して緩衝性能および荷重分散性に優れていることが明らかになった。
PDFファイル名 015-01-2159.pdf


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