種別 論文
主題 スメクタイト族鉱物含有骨材の簡易品質判定法
副題
筆頭著者 藤原靖(大成建設)
連名者1 武田均(大成建設)
連名者2
連名者3
連名者4
連名者5
キーワード
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先頭ページ 329
末尾ページ 334
年度 1994
要旨 1.はじめに
 コンクリートダムのように骨材の採取地域が限定されるような構造物を建設する場合には、例えば土木学会コンクリート標準示方書ダム編などに規定した規格の一部を満足しない、いわゆる低品質骨材を使用する機会が増加している。
 低品質骨材のうち、スメクタイト族鉱物(モンモリロナイトなど)を含有する岩石をコンクリート骨材として使用した場合、凝結が早まることが明らかにされている。このような凝結性状はスメクタイト族鉱物の含有量により影響されるが、一般にその影響度は強度特性、凍結融解抵抗性などの硬化後の性質よりも、凝結が早まることによるワーカビリティーの低下の方が大きいことが明らかにされている。
 凝結の早まりはスメクタイト族鉱物の含有量に影響されるので、骨材の品質を判定する場合にその含有量が重要な情報となる。しかしスメクタイト族鉱物が凝結特性に与える影響の程度は、スメクタイト族鉱物の種類、産状、交換性陽イオンの組成、イオン交換容量などにより異なるため、含有量から骨材として使用した場合の凝結特性を直接判定することは難しい場合も多い。またスメクタイト族鉱物の含有量を把握する方法としてX線回祈分析法が用いられるが、標準鉱物の選定などにより定量値が変動するため、含有量そのものの値に普遍性を持たせることが難しい。含有量の指標として陽イオン交換容量の測定が考えられるが、X線回折分析法と同様に、このような情報を得るための分析機器を建設現場に設置して品質管理を実施することは容易ではない。
 著者らは前報において、骨材の有するコンクリートの凝結への影響の程度を把握でき、通常のコンクリートの品質管理と同等の器具や装置を使用して、スメクタイト族鉱物含有骨材の品質を簡易に判定する方法について提案した。本報告では、本法の試験操作の簡素化並びに低品質骨材の使用対象となるダムコンクリートにおいても、その凝結特性を主とした品質を本法により評価できるか否かについて検討を行ったものである。
 4.まとめ
(1)粒度調整試料の温度上昇速度のピークあるいはショルダーピークから読み取った最大値に粒径0.6〜0.3mmの場合の最大値の大きさ、形状が近似していた。
(2)粒径0.6〜0.3mmの試料の温度上昇速度の最大値は、スメクタイト族鉱物の含有量と相関が高く、この粒径を用いることにより試験操作の簡素化が可能と考えられた。
(3)ダムコンクリートのウェットスクリーニングを想定したモルタル試験では、A配合、B配合ともに温度上昇速度の最大値の違いによるフロー値の変化は小さいことが認められた。
(4)A配合、B配合ともに温度上昇速度の最大値と凝結の始発時間との間には良好な負の相関が認められ、B配合の凝結の始発時間の方がA配合に比較して10分前後早くなっていた。
(5)A配合の場合には、材令1、4、13週において温度上昇速度の最大値が変わっても圧縮強度の変化はほとんど認められず、B配合の場合には、材令1、4、13週において温度上昇速度の最大値が大きくなるのにともなって圧縮強度の低下が認められた。
(6)本簡易品質判定法によりダムコンクリート配合においてもスメクタイト族鉱物含有骨材の凝結特性の把握が可能であり、凝結特性からみた骨材品質の判定に適用可能と考えられた。
(7)本法の実工事への適用には、今後の温度上昇速度データの普遍化、実機によるコンクリート試験での検討、超遅延剤を添加した場合の凝結特性の把握などの検討が必要と考えられた。
PDFファイル名 016-01-1053.pdf


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