種別 論文
主題 障害物挿入型回転粘度計によるフレッシュコンクリートのコンシステンシー評価
副題
筆頭著者 寺西浩司(前田建設工業)
連名者1 谷川恭雄(名古屋大学)
連名者2 森博嗣(名古屋大学)
連名者3 渡辺健治(名古屋大学大学院)
連名者4
連名者5
キーワード
16
1
先頭ページ 449
末尾ページ 454
年度 1994
要旨 1.まえがき
 高流動コンクリートの施工は、自己流動による無振動打設が基本であり、また、通常のコンクリートでは対応が困難な厳しい条件下で使用されるケースも多い。したがって、任意の施工条件下におけるコンクリートの流動・充填状況を事前に予測するための理論解析・数値解析の必要性が高まっている。しかし、これらの解析の基本的な入力データとなるレオロジー定数の測定方法が確立されておらず、解析的研究の進展の最も大きな障壁となっている。
 球引上げ試験は、最も一般的なレオロジ一試験のひとつであり、最近では、モルタルに対しても適用されている。しかし、試料内で球を引き上げる間に得られるデータには限りがあり、その再現性にも疑問が残る。また、この試験では、比較的低速度で球を引き上げて測定を行うため、必ずしも、実施工条件に対応した結果が得られているわけではない。筆者らは、これらの点を改善し、より簡便なレオロジー試験方法を開発するために、モルタル中で球を水平に周回運動させ、球に加わる抵抗力からレオロジー定数を測定する試験装置を試作した。
 また、コンクリートが鉄筋間などの間隙を通過する特性を表す間隙通過性は、材料性質とともに配筋状況や圧力などの施工条件を包括する概念であり、無振動打設される高流動コンクリートでは特に重要な特性のひとつであるが、定量的な性状として評価されるには至っていない。
そこで、上記の装置において、球の代わりに鉄筋を挿入した装置を用いて測定を行い、間隙通過性の評価を試みた。本研究では、これらの障害物を挿入した新しいタイプの回転粘度計の試用結果を報告する。
4.まとめ
 本研究では、コンクリートのレオロジ一定数およびコンシステンシーを測定する試験として障害物挿入型回転粘度計を試作した。
 球挿入型回転粘度計では、高流動コンクリートのマトリックスモルタルに試用した結果、以下の知見が得られた。
1)適正な直径の球を使用すれば、モルタルのレオロジー定数を精度よく測定できる。
2)球を挿入する深度によって、得られるレオロジー性質は異なる。すなわち、静水圧がモルタルのみかけのレオロジー性質に影響を与え、その影響は特に降伏値に対して顕著である。
 また、鉄筋挿入型回転粘度計に関しては、以下の知見が得られた。
3)本実験の範囲では、丸鋼と異形鉄筋の差異は認められない。また、粗骨材量が大きくなると、鉄筋間を通過するために必要な圧力は増加し、速度に対する比例成分(粘性)の増加が顕著である。
4)本試験装置により、鉄筋間通過性を定量的に把握することができる。
 本研究では、外円筒回転式を使用したが、試料容器が回転するため、遠心力によって試料の表面が若干外周側で高くなる結果となり、回転による振動の問題とともに、検討を要する課題である。また、鉄筋挿入型回転粘度計では、今後、鉄筋間隔を変化させた試験を実施する予定である。
PDFファイル名 016-01-1073.pdf


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