種別 論文
主題 ペーストのレオロジー特性に及ぼす高性能AE減水剤の影響
副題
筆頭著者 陳庭(東京大学大学院)
連名者1 姜丙熙(東亜大学校)
連名者2 野口貴文(東京大学)
連名者3 李翰承(東京大学大学院)
連名者4
連名者5
キーワード
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先頭ページ 455
末尾ページ 460
年度 1994
要旨 1.はじめに
 最近、フレッシュコンクリートの施工性能改善および硬化コンクリートの高品質化を目的とする高流動コンクリートの研究が盛んに行われている。このような高流動コンクリートは、従来のコンクリートに比べ粘性が高いなど、フレッシュ時の性質が異なるため、スランプ試験だけで流動性を評価するのは不十分であり、レオロジー特性に基づいて評価を行う必要がある。また、その調合設計方法は、経験に基づいた従来のコンクリートの方法とは異なり、流動性支配要因およびその材料・調合との関係に基づく理論的な調合設計方法の確立が望まれている。
 高流動コンクリートのレオロジー特性に基づいた流動性の評価を調合設計に結び付けるには、コンクリートやモルタルを骨材とペーストの固液二相材料としてとらえ、レオロジー特性に与える材料や調合の影響を解明することが必要であると考えられる。特に、コンクリートの流動性に大きな影響を与えるペーストのレオロジー特性は、粉体の粒度分布・鉱物組成、混和剤の種類等に左右されると考えられる。筆者らは、ペーストのレオロジー特性に与える粉体および混和剤の種類の影響に関する一連の実験を行っている。本研究では、粉体として、普通ポルトランドセメントおよびそれに高炉スラグ微粉末を加えたものを用いた場合を対象とし、高性能AE減水剤の種類がペーストのレオロジー・付着特性に与える影響について実験的に検討した。なお、本研究は日本建築学会に設置された高流動コンクリート研究小委員会(委員長:友澤史紀東京大学教授)の研究の一環として行ったものである。
4.まとめ
 以上の実験結果により得られた知見を以下に示す。
1)既往の結果と同様に、回転粘度計で測定した降伏値および塑性粘度は、それぞれフロー値およびフロー速度と密接な閑係があった。
2)同一フロー値を得るために必要な高性能AE減水剤の使用量は、セメントの一部を高炉スラグで置換することにより、ポリカルボン酸系では平均33%、ナフタレン系では平均37%、アミノスルホン酸系では平均11%低下した。
3)同一フロー値を示すペーストのレオロジー特性は、高性能AE減水剤の種類によって異なり、ポリカルボン酸系は降伏値が高く塑性粘度が低いが、ナフタレン系およびアミノスルホン酸系では降伏値が低く塑性粘度が高い傾向にあった。
4)粉体の種類がペーストのレオロジー特性に及ぼす影響は、高性能AE減水剤の種類によっても異なり、高炉スラグの混合によって、ポリカルボン酸系の場合、塑性粘度は非常に低くなったが、ナフタレン系とアミノスルホン酸系では逆に大きくなった。
5)混練直後同一フロー値のペーストであっても、その経時変化は高性能AE減水剤の種類によって異なる。ナフタレン系を除いて、高炉スラグの添加によるフロー値の経時変化は極めて小さくなった。
6)降伏値および塑性粘度の経時変化は高性能AE減水剤の種類によって異なる傾向を示した。その変化はナフタレン系とアミノスルホン酸系A2のペーストで大きく、塑性粘度の変化よりも降伏値の変化が大きかった。また、高炉スラグの混合によって降伏値と塑性粘度の経時変化はナフタレン系を除いて小さくなった。
7)高性能AE減水剤の種類に関係なく、付着特性値と降伏値・塑性粘度との間の相関は小さく、付着特性値はこれらとははとんど独立の変数と考えられる。また、高炉スラグの混合によって付着特性値はポリカルボン酸系では低下、ナフタレン系では若干増加し、アミノスルホン酸系では種類によって異なる挙動を示した。
PDFファイル名 016-01-1074.pdf


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