種別 論文
主題 セメント硬化体の弾性係数について
副題
筆頭著者 川上英男(福井大学)
連名者1 松田勝彦(滋賀県庁)
連名者2 熊井雄大(福井大学大学院)
連名者3
連名者4
連名者5
キーワード
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先頭ページ 497
末尾ページ 502
年度 1994
要旨 1.はじめに
 コンクリートの弾性係数はコンクリート構造物の剛性の基本的要因である。ところでコンクリートは母材としてのセメント硬化体と細骨材及び粗骨材を主成分とする複合材料であって、その力学的性質はそれら各構成素材それぞれの力学的性質やその境界面の状況によって影響を受ける。したがってその弾性係数についても正碓な評価を得ることは客易ではない。その評価手法には大きく分けて二つの流れがある。
 一つはマクロ的観点から、コンクリートの圧縮強度、単位容積質量との関連で経験的に評価しようとするもので、例えは、日本建築学会の鉄筋コンクリート構造計算規準では設計基準強度と単位容積質量の指数を用いている。この場合には多数の実験結果から統計的に導かれた実験式に基づいて実用的な係数を定めたものである。一方、複合理論によって各構成素材の弾性係数とそれらの複合モデルを用いてコンクリートの弾性係数を理論的に評価しようとする試みがある。これらは弾性論に基づくものであって、評価の正確さを追及するほどその評価式は複雑になる。
 本研究は複合理論によるコンクリートの弾性係数評価の可能性を探ることを意図したものである。構成素材のうち、セメント硬化体については、その強度や弾性的性質には 未水和セメント、水和物、水和物結晶間の組織構造及び空隙などが影響し、これらに対してセメントの鉱物組成、粉末度、水セメント比、材令が影響を与えるとされている。その弾性係数に対して例えば水セメント比と材令の影響に関する報告では指数関数の表現となっている。
 ところで、複合理論の適用に当たっては各構成素材の弾性係数は簡単な表現が望ましい。
そこで本論文はセメント硬化体の圧縮時の歪の弾性成分と非弾性成分について考察すると共に、初期弾性係数及び圧縮強度の1/3の応力度における割線弾性係数(ヤング係数)がその他の物理量すなわち圧縮強度、セメント水比、比重との関係においてより簡単な表現が可能かを検討したものである。ここでは検討対象を材令4週、標準水中養生直後の湿潤状態のセメント硬化体に限定した。
6.むすび
 本論文はコンクリートの弾性係数の評価に複合理論適用の可能性を探る日的で、セメント硬化体の強度やヤング係数が圧縮強度、セメント水比、比重とどのような関係にあるかを実験的に検討したものであって、水セメント比 55−25%(c/w=1.82−4.0)のセメント硬化体の材令4週、湿潤状態の範囲において、表1に示すように比較的簡単な形の回帰式を求めた。これによれば次の点が指摘できる。すなわち、
1)圧縮強度はセメント硬化体の比重の大きいものほど大きく両者はほぼ直線的関係にある。
2)初期弾性係数及びヤング係数はセメント水比の対数、立方体強度及び比重とそれぞれほぼ直線的関係にあり、実験結果の相関係数は比重との関係において最も大きい。
PDFファイル名 016-01-1081.pdf


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