種別 論文
主題 セメントモルタルの硬化初期における引張り限界ひずみの経時変化
副題
筆頭著者 松藤泰典(九州大学)
連名者1 小山智幸(九州大学)
連名者2
連名者3
連名者4
連名者5
キーワード
16
1
先頭ページ 681
末尾ページ 686
年度 1994
要旨 1.序
 暑中環境下で打設されるコンクリートは、練り上がり時や運搬中における流動性の低下および打設時におけるコールドジョイントの発生、また硬化後においては長期強度増進の低下や表層部の劣化による耐久性の低下等種々の品質低下を生じる傾向にある。しかし、国内の暑中環境に限定すればこれらの悪影響が他の時期と比較して際立って顕著であるとは言えず、夏季調合の実施や材料の温度管理等により、これらの品質低下を防ぐことは可能である。しかし、表層部の劣化、特に初期材令時におけるひび割れの発生に関しては、その発生要因および性状が定量的に把握されておらず、適切な対策が施されているとは言えないのが現状である。
 筆者等は初期ひび割れ発生の原因として、コンクリート内部と表層部の温度差に着目し、外的要因として気温・湿度等の環境要因、内的要因として水セメント比等の調合および材料が、温度差に及ぼす影響に関して実験・検討を行った。また対策要因として保水養生・給水養生など養生による効果に関しても検討を行っている。本研究ではこれらの結果をもとに、温度差によって試験体表層部に生じる引張りひずみを算定し、ひび割れ発生の判定やひび割れ対策の効果に関して検討を行うを行うため、硬化初期における線膨張係数および引張り限界ひずみを測定した。本編では初期ひび割れ発生の判定方法および引張り限界ひずみの測定結果について示す。
6.結論
 本研究では打設後24時間程度までの硬化初期におけるモルタル試験体の引張り限界ひずみを測定し、これまでの研究結果をもとに初期ひび割れ発生の判定を行った。得られた結果を以下に示す。
1)硬化初期における試験体の引張り限界ひずみは打設直後は大きく、材令とともに急減し、水和反応速度が極大値になる時期に極小となる。この初期脆性を示す時期は温度が高いほど早く、極小値も小さくなる傾向がみられた。従って暑中環境下においては他の時期よりも初期ひび割れが生じやすいことが確認された。
2)引張り限界ひずみの極小値は調合等の影響を受けて変化するが、今回検討を行った調合の範囲では、外気温度の場合と比較するとその影響は小さい。
3)今回測定された引張り限界ひずみを用いて外気温度や外気湿度を変化させた際の初期ひび割れ判定を行った。その結果外気温度が高い場合にひび割れが生じやすくなる傾向がみられた。また外気湿度が低い試験体では試験体に生じる引張りひずみが引張り限界ひずみよりも大きくなる時期が生じた。ひび割れ観察実験においても初期ひび割れが生じたものがあり、本方法の妥当性が確認された。
PDFファイル名 016-01-1112.pdf


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