種別 論文
主題 シラス軽石を用いた多孔質コンクリートの吸音特性
副題
筆頭著者 玉井元治(近畿大学)
連名者1 田中光徳(第一工業大学)
連名者2
連名者3
連名者4
連名者5
キーワード
16
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先頭ページ 711
末尾ページ 716
年度 1994
要旨 1.まえがき
 筆者らは、普通砕石や人工および天然軽量骨材に、粘稠なセメントペーストをまぶした、連続空隙を有する吸音性コンクリート(Sound−Absrbing No−Fines Concrete:SA−NFC)の開発研究を進めている。それらは、軽量にして連続空隙を有し、均質な通気性に長所を持つNFCである。その望ましい特性と開発内容は、所要の吸音性と強度および自然変化に対する耐久性を有し、騒音となる特定の周汲数帯を板厚さを交互に変化することによって吸収する吸音板を製作することである。
 これまでの研究は、骨材として普通砕石、各種人工軽量骨材、シラス軽石等を用いたそれぞれの単体の吸音特性および、結合材にポゾラン材や発泡剤を添加して作成したSA−NFCの吸音特性と強度性状につき検討した。その結果、骨材単体の吸音率は、空隙率、粒径、形状、単位当りの表面積、表面性状等の物理的性状と、材料の厚さに依存することが確認できた。
SA−NFC の吸音特性に関係する要素は、骨材物性の外に、骨材空隙を充填する結合材の量に依存する連続空隙と内部表面積、空隙の表面性状等である。実施工と耐久性面からは、製品の嵩比重が低く、強度が高いことが望ましいとした。SA−NFCの構成材料のうち骨材は、軽量で取り扱い易いシラス糸の天然軽石が、それらの特性を包含していることを指摘した。結合材への添加剤としては、シリカフュームが高強度化を図り、所要の強度を得るために必要な結合材量を削減することができ、またアルミニウム粉末の添加は結合材表面の凹凸と結合材内部に一部連続空隙を形成させ吸音特性を良好にすることが予測される。
 本研究は、これらの研究をさらに発展させるため鹿児島地方に多量に分布するシラス系天然軽石をSA−NFCの骨材として有効利用し、結合材にシリカフューム、ポリマーエマルジョン、カーボン繊維、アルミニウム粉末のそれぞれ単体または複合物を混入し、吸音特性および強度特性について検討した。続いて吸音特性の良好な配合を定め、特定の騒音周波数をSA−NFCの板厚さを交互に変化することによって吸収する吸音板を開発する。
4.まとめ
 骨材としてシラス軽石を、セメント結合材に高性能減水剤、シリカフューム、ポリマー、アルミニウム粉末やカーボン繊維の単体または、それらの混合物を用いたNFCを作成し、吸音性コンクリートとしての利用方法につき検討したが、概して次のように要約する。
1)SA−NFC供試体の厚さを薄くすると吸音周波数帯は高周波域に移動する。
2)シラス軽石は、軽量にして表面の凹凸が多く、骨材自体の吸音特性は良好である。この性状を維持するには、SA−NFCとした吸音板の所定の強度を高強度用高性能減水剤やシリカフュームを使用して保持し、結合材の量をできるだけ少なくする必要がある。
3)ポリマーを混入すると、骨材粒子の剥離防止に効果があるが、多量に添加すると強度低下のみならず、内部表面の平滑化を招き、吸音特性を低下させる。
4)カーボン繊維を適量混入すると、空隙内に一部の繊維がまたがり、音波が振動エネルギーとなって減衰され、また強度増加にも効果がある。
5)シリカフュームを混入すると、骨材への付着特性のみならず所望の強度を得るために充填する結合材量を下げ、結果的に内部の凹凸を含む表面積を拡大し吸音率を上昇させる。
6)Al粉末の混入による発泡効果は、SFやCFと併用すると比較的良好な吸音特性を示した。
7)騒音の広い周波数帯域を吸音するには、版厚を交互に配置したり、背後に空気層を設ける等の考慮が必要である。
PDFファイル名 016-01-1117.pdf


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