種別 論文
主題 自然環境下に暴露したコンクリート中の鉄筋の腐食性状
副題
筆頭著者 笹谷輝彦(国土開発センター)
連名者1 鳥居和之(金沢大学)
連名者2 川村満紀(金沢大学)
連名者3
連名者4
連名者5
キーワード
16
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先頭ページ 787
末尾ページ 792
年度 1994
要旨 1.まえがき
 コンクリート中の鉄筋は中性化または塩化物イオンの存在により不動態皮膜が破壊され、それ以後の鉄筋腐食の進行過程では外部からの水と酸素の供給が律速反応となることが知られている。従って、鉄筋腐食を防止するためには十分なかぶりを確保するとともにかぶりコンクリートを密実なものにすることが基本となる。一般に、鉱物質混和材(フライアッシュ、高炉スラグ微粉末およびシリカフューム)を使用したコンクリートは、ポゾラン反応の過程での緻密な内部組織の形成により塩化物イオン、炭酸ガスなどの腐食因子のコンクリートヘの拡散・透過を大きく低減できることが碓認されている。しかし、Pageらによって指摘されているように、鉱物質混和材を使用したコンクリートではポゾラン反応の進行過程でコンクリートの細孔溶液中のOH-イオン濃度が減少し、鉄筋腐食が生じるCl-イオン濃度の限界値が低下する可能性もある。著者らは、屋内での塩水への浸漬・乾燥の繰り返し試験の結果より、鉱物質混和材を使用したコンクリートでは鉄筋腐食に対する良好な防食機能を期待できることを確認しているが、実際の自然環境下では、乾燥・湿潤、凍結融解および湿度変化などの種々の物理的作用が同時に加わるので、自然環境下におけるコンクリート中の鉄筋の腐食性状は屋内試験の結果と必ずしも一致するとは限らないようである。
 本研究では、自然環境下に暴露した各種コンクリートの鉄筋腐食に対する防食性能を比較することを目的とし、鉄筋を埋設したコンクリート供試体を石川県内の海岸および塩分の影響を受けない内陸部の建物屋上に約5年間暴露し、コンクリート中の鉄筋の腐食性状に及ぼす配合および養生条件の影響について検討を行った。
4.結論
 自然環境下に5年間暴露したコンクリート中の鉄筋の電気化学的測定を行った結果、普通セメントコンクリートでは、自然電位の測定結果は実際の鉄筋腐食状況ともよく対応しており、電気化学的モニタリングは鉄筋の腐食状況を推定するのに有効な手段となることが確認された。しかし、鉱物質混和材を使用したコンクリートでは電気化学的モニタリングの結果のみで鉄筋の腐食状況を推定することは困難であった。また海洋環境下に暴露した普通セメントコンクリートでは、塩化物イオン量が0.1%を越える場合に腐食が発生しており、急速試験法(AASHTO T-277)により求めた塩化物イオン透過量とも対応関係が認められた。一方、海洋環境下に暴露したフライアッシュおよびシリカフュームを使用したコンクリートでは長期に渡って良好な防食機能が確認されたが、高炉スラグ微粉末を使用したコンクリートは、塩化物イオンの浸透が小さいにも関わらず、腐食が発生した。
PDFファイル名 016-01-1130.pdf


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