種別 論文
主題 EPMAを用いたモルタルの硫酸塩による化学的腐食判定
副題
筆頭著者 佐々木肇(間組)
連名者1 谷口公一(間組)
連名者2 広永道彦(電力中央研究所)
連名者3 遠藤孝夫(電力中央研究所)
連名者4
連名者5
キーワード
16
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先頭ページ 859
末尾ページ 864
年度 1994
要旨 1.まえがき
 従来、化学的腐食が問題となるのは温泉地帯や化学工場などの特殊な環境にさらされたコンクリート構造物であった。しかし、近年、地下発電所や地下石油備蓄基地などのような大規模地下構造物が増加しており、このような地下構造物は、地下水に含まれている硫酸塩などによるコンクリートの化学的腐食が考えられるため、構造物に要求される耐用年数によっては、非常に長期にわたる耐久性が必要となる。
 筆者らは、硫酸塩による化学的腐食の速度を考慮に入れた耐久性評価のモデル化を提案する目的で、濃度の異なるNa2SO4溶液(5%、10%)にモルタル供試体を1年間浸漬し、硫酸塩の浸透深さの経時変化をX線マイクロアナライザー(以下、EPMA)により測定した結果、硫酸塩によるコンクリートの化学的腐食は、1)硫酸塩のモルタル中への拡散、2)硫酸塩の蓄積、3)セメント水和物との反応(エトリンガイトの生成)、4)ひびわれ誘発、5)ひびわれの成長による表面剥離の5段階に進行するモデルとして考えられること、腐食生成物のひとつであるエトリンガイトの生成が律速になり腐食速度が決まることが明かとなった。さらに、コンクリートの硫酸塩による化学的腐食領域の判定方法を提案した。
 本報告は、このモデルを立証するための一環として、特に先のモデルの第3段階に相当するエトリンガイトの生成領域を明確にする事を目的に、EPMAのデータを統計的手法を用いて解析した結果についての考察を取りまとめたものである。
4.まとめ
 モルタル供試体をNa2SO4溶液に1年間浸漬し、EPMAにより得られたデータを統計的手法を用いて解析することにより、以下のことが明らかとなった。
1.SとCaのX線強度の相関を求め、その散布図から濃度組成の違いを利用して化学的腐食領域と非腐食領域を区別することが可能である。
2.硫酸塩による化学的腐食において腐食領域ではエトリンガイトの組成に近い鉱物を成分とする相が生成する。
 今後は、この解析方法が他の材料や配合においても適応できるかどうかを確認するとともに、今回用いた解析方法を詳細に検討する事により、先に提案したモデルの第2段階および第4段階の立証を行い、硫酸塩による化学的腐食の速度を考慮に入れた耐久性評価方法の提案を試みたい。
PDFファイル名 016-01-1142.pdf


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