種別 論文
主題 表面処理されたモルタルの汚れ色彩特性
副題
筆頭著者 市坪誠(呉工業高等専門学校)
連名者1 田澤榮一(広島大学)
連名者2 竹村和夫(呉高等専門学校)
連名者3
連名者4
連名者5
キーワード
16
1
先頭ページ 883
末尾ページ 888
年度 1994
要旨 1.まえがき
 近年、コンクリート構造物の塩害・凍害・中性化・アルカリ骨材反応等といった早期劣化や損傷が社会的な問題にまで発展している。中でも、水(海水、降雨水等)に直接接するような土木構造物は過酷な環境下にあり、耐久性に限らず美観上も多大な影響を受けている。しかも、土木用コンクリート構造物を美観という観点から評価するとき、その表面における「汚れ」が見る人の感性にマイナスのイメージを与えていることが明らかとなっている。にもかかわらず、土木用コンクリート構造物における「汚れ」対策はほとんど確立されていないといってよい。そこで、「汚れ」についてその原因を解明し対策を研究することは、耐久性の面から材料表面・内部機能の変状を判断する上で重要であり、美観・衛生面から汚れ除去の対策や設計当初における汚れ防止の手段及び維持管理上有意義となる。
 本研究は、市販されている防カビ材及び防水、撥水効果のある材料をモルタル表面に塗布し、1年間、日陰・日向(ひなた)および水中の各環境下で曝露することにより、表面処理しないモルタル及び漆喰(しっくい)供試体との汚れによる色彩変化について検討を行うものである。ここで、対象とした「汚れ」とは生物(藻類、菌類等)の付着による表面性状の変化としている。
さらに、乾燥状態及び湿潤状態の色彩特性を比較することにより材料の「濡れ」が表面の色彩調和に及ぼす影響についても検討を行った。
4.結論
 本研究ではモルタル表面の材料特性を変化させ、付着した汚れ物質の色彩特性について検討を行った。さらに、濡れが及ぼす影響についても検討を行った。本研究で得られた結果をまとめると以下の通りである。
(1)日陰、日向の両環境下で1年を経過したモルタル試料は、表面の処理、無処理に係わらず色相、明度で同様な挙動をとり、彩度は高くなった(色相は黄系、明度は6前後、彩度は1前後)。この色彩変化は色退色の影響といえた。
(2)水中曝露の試料は、表面の処理、無処理に係わらず汚れ(藻類)が付着し、その色彩は付着生物の色に左右された(色相は黄緑系、明度は5前後、彩度は1.6前後)。
(3)曝露前の乾燥試料を基準とした水中曝露における色差の経時変化から、表面処理のない中性化したモルタル試料は生物付着が特に大と判断された。また、モルタルに比べて漆喰は約2倍と突出した値となった。
(4)晴天時の汚れ色彩調和において、表面が無処理の試料は20週以降明度差が著しく大となり、明度・彩度の調和において対比調和となった。特に、漆喰試料Lは30週以降、明度・彩度の調和、色調調和から景観上大面積となる壁面には適さないと判断された。
(5)雨天時の汚れ色彩調和において、表面が無処理の試料は30週以降、明度・彩度調和と色調調和が対比調和となり晴天時に比べて色彩上のバランスが崩れることが理解できた。
(6)曝露前(0週)のモルタルの吸水(濡れ)は明度差に直接影響し、色彩のバランスを崩す一因となった。
PDFファイル名 016-01-1146.pdf


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