種別 論文
主題 影響因子を考慮した統計解析に基づくコンクリート橋の安全性の経年変化予測
副題
筆頭著者 森川英典(神戸大学)
連名者1 宮本文穂(神戸大学)
連名者2 北村敦彦(大阪府庁)
連名者3 大山慎一(神戸大学大学院)
連名者4
連名者5
キーワード
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先頭ページ 1001
末尾ページ 1006
年度 1994
要旨 1.はじめに
 コンクリート橋の維持管理において必要となる日常点検、定期点検の方法として、現状では目視検査が最も一般的で、その他に非破壊検査、中性化深さ測定、変位測定等が取り入れられている。目視検査は最も簡便ではあるが、検査者の経験に基づく専門的判断に依存する部分が多く、主観的なあいまいさが含まれるために、今後急増することが予想される劣化橋梁を合理的に管理していくことが困難であると考えられ、目視に代わる簡便な合理的検査法の確立が要求されている。一方、構造各部の劣化状態を検査・評価し、その対策(特に補強)を行う場合、局部的(損傷部のみ)に対処すると橋梁全体系の安全性のバランスに影響を及ぼすことがあるので、橋梁全体系としての評価を行う必要があるといえる。そこで、本研究では、対象橋梁に対して、現時点での安全性をできる限り簡易的に、高精度で推定し、また現時点以降の安全性の経年変化予測を行うために、同一形式のコンクリート橋梁数橋に対して行った実橋載荷および材料試験に基づく安全性評価結果の統計解析を行うことが有効であると考えた。その際に橋梁毎に異なる施工の状態、環境条件、荷重条件等を考慮するため、これらの影響を表す因子として中性化速度を取り上げ、また橋梁全体系の劣化状態のバランスを表す影響因子として主桁間剛性比を取り上げて、これらの影響因子の変動を考慮した統計解析手法を検討し、中性化深さ測定に基づく簡便な安全性予測手法として提案した。さらに本評価法を実橋に適用し、その妥当性の検討を行った。
5.結論
 本研究は、過去に蓄積された安全性評価データに対して、影響因子としてコンクリートの中性化速度と主桁間剛性比を考慮した統計解析を行うことにより、簡易な材料試験に基づいて安全性の経年変化を推定する手法を検討したものである。得られた結論を以下にまとめる。
(1)安全性指標β2の統計量に及ぼす影響因子としてコンクリートの中性化速度と主桁間剛性比を取り上げ、その感度特性を調べた上で、安全性経年変化予測式への導入を試みた。その際、中性化のメカニズムが現状において十分解明されていないため、コンクリートの材料劣化が伴わない場合と伴う場合の両方を考慮した。後者については、数橋の実橋において測定された中性化速度の測定結果から平均的な基準値の経年変化特性を評価し、対象橋梁の現時点での中性化速度の測定結果とあわせて劣化特性の評価を行った。その結果、コンクリートの中性化深さおよび主桁間剛性比の測定によって安全性経年変化の予測を比較的高精度で行うことを可能とした。
(2)本手法を試験時が橋齢41年である「旧樫谷橋」のスパン2のC桁に適用した結果、曲げに関しては安全性評価値と実験値の間にやや相違が見られたが、せん断に関しては両者はほぼ一致した。
PDFファイル名 016-01-1166.pdf


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