種別 論文
主題 アルカリによるガラス繊維劣化のメカニズムとその定量化に関する基礎研究
副題
筆頭著者 勝木太(東急建設)
連名者1 魚本健人(東京大学)
連名者2
連名者3
連名者4
連名者5
キーワード
16
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先頭ページ 1179
末尾ページ 1184
年度 1994
要旨 1.はじめに
 コンクリート用補強材として利用されるガラス繊維は、コンクリート中に配置されることから、高アルカリ環境下におかれることとなる。したがって、シリカを主成分とするガラス繊維は、アルカリによる腐食の可能性が非常に高く、ガラス繊維の耐アルカリ性を明らかにする必要がある。
 これまで、実際に使用される複合材料(GRC、GFRP)の耐アルカリ性について検討され、アルカリによってこれらの力学的特性が低下することが明らかとされている。しかし、これらの複合材料の劣化がどのような機構で生じるのかを定量的に検討した例は少ない。もし、アルカリによる劣化のメカニズムを定量化し、その進行を予測できれば、短期間の劣化試験によって長期的な耐アルカリ性評価が可能になると考えられる。
 そこで、本研究では、アルカリ溶液に浸漬したガラス繊維の強度変化を実験で明らかにするとともに、SEMによる観察から劣化モデルを構築し、耐アルカリ性評価の定量化を試みた。また、長期材令におけるガラス繊維補強セメント(GRC)の曲げ耐力の低下が、アルカリによるガラス繊維の劣化に起因するものとして、GRCの曲げ耐力の低下を解析的に予測し、既往の研究による曲げ試験結果との比較検討を行なった。
8.結論
 本研究は、短繊維及び連続繊維補強材として利用されるガラス繊維の耐アルカリ性を明らかにし、アルカリによる劣化の進行を定量的に評価することを目的とした。また、ガラス繊維補強セメントの劣化をガラス繊維の耐アルカリ性不足によるものとして、その劣化予測を行なった。以下にその結論をまとめる。
(1)アルカリによるTガラス繊維の劣化は、アルカリとガラス繊維中のシリカ成分が反応し、強度を有しないアルカリ反応生成物を形成するためで、その反応は繊維表面から内部へ時間とともに進行し、強度を有する未反応部分が減少するためである。また、劣化速度は異なるものの耐アルカリガラス繊維においても同様な劣化形態を生じることが明らかとなった。
(2)この反応を定量化するために、繊維中の反応性シリカ量を考慮して導入した有効消費アルカリ容量を用いた拡散律速理論に基づくモデルを提案した。
(3)ガラス繊維とアルカリとの反応の温度依存性は、アレニュウスの関係に従う。また、アルカリ温度を変化させた場合においても、拡散律速理論を用いた解析モデルによってアルカリの進行を予測できる。
(4)GRCの長期期間における曲げ強度低下を、アルカリによるガラス繊維の劣化に起因するとして、Tガラス繊維白身の強度低下率の予測結果を用いて推定した。今後さらに、耐アルカリガラス繊維の耐アルカリ性を定量化し、GRCの曲げ強度の低下を推定する必要がある。
PDFファイル名 016-01-1197.pdf


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