種別 論文
主題 供試体の回収時期が圧縮強度に及ぼす影響について
副題
筆頭著者 大倉真人(長谷工コーポレーション)
連名者1 古賀一八(長谷工コーポレーション)
連名者2 高橋保男(日東コンクリート)
連名者3 中村剛(日東コンクリート)
連名者4
連名者5
キーワード
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先頭ページ 1269
末尾ページ 1272
年度 1994
要旨 1.はじめに
 昨今、建設業における労働者不足や就労時間の短縮が重要な問題として取り上げられてきている。これは、建設工事に直接携わる人のみならず、コンクリートの品質試験業務に従事するものについても同様であろう。
 現場で打設されたコンクリートの圧縮強度による品質管理は、以下の手順で行われることが一般的である。1)現場での試料採取及び円柱供試体の作製→2)作製した翌日の供試体回収→3)キャッピング→4)脱型→5)養生→6)圧縮強度試験。しかし、これら一連の試験や作業に携わる人からは、現場で供試体を採取した後、即時に供試体を回収することで、労務の軽減を図りたいとの要望が強い。たしかにコンクリート供試体の工事現場から試験機関への運搬を、供試体を作製した当日に行うことは、労務の軽減や労働時間の短縮のみならず、交通量の削減にもつながる等、いくつかの利点を見出すことができる。
 一方では、供試体を作製した当日に回収すると、供試体を運搬する際の振動が硬化する前のコンクリートに付与されて、実際に打設されたコンクリートとは品質が異なってしまう恐れがあること、JIS A 1132 6.3.1によれば「型枠は、コンクリートを打ち込んでから硬化するまで、水平な場所に置かなければならない」と規定されていること等から、供試体を当日回収することは好ましくないとの意見もある。しかし、供試体の回収時期がコンクリートの品質にどの程度の影響を及ぼすかを報告した例は皆無に等しく、当日に回収しても問題ないかどうかは明らかとされていない。
 本報は、これらを踏まえ、コンクリート供試体の工事現場から試験機関への運搬を、供試体を作製した当日に行ったものと、作製した翌日に行ったものについて、圧縮強度試験を行って比較検討したものである。
3.まとめ
 今回の調査結果をまとめると以下のようである。
1)当日回収した供試体は、翌日回収した供試体よりも、5〜6%程度大きな圧締強度を示す。また、コンクリート温度が高い場合に顕著となるようである。
2)回収時の供試体に与えられる振動の状況が圧縮強度に及ぼす影響が大きいと推察される。
3)当日回収した供試体の圧縮強度を、翌日回収した供試体の圧縮強度の代替として品質管理を行うことは、安全かつ合理的な管理にはならない。
4)当日回収した供試体で圧縮強度の判定を行う場合は、呼び強度にある程度の割り増しを加えた値を合否判定に用いることも、考慮されてもよいかも知れない。
 労務の軽減や効率的に品質管理を遂行する一手法として、当日回収供試体により強度判定を行うことは、今後考慮すべき手法であろう。しかし、当日回収を行った場合、圧縮強度を大きく判定することになりやすいので、十分に留意をすべきである。その際、供試体の運搬条件、コンクリート温度等の影響が、圧縮強度に及ぼす影響を明確にする必要がある。
PDFファイル名 016-01-1212.pdf


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