種別 論文
主題 2層打設されたRC部材の自由曲げ変形と温度応力に関する実験的研究
副題
筆頭著者 山下浩(宇都宮大学大学院)
連名者1 佐藤良一(宇都宮大学)
連名者2 氏家勲(宇都宮大学)
連名者3 伊沢良則(宇都宮大学大学院)
連名者4
連名者5
キーワード
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先頭ページ 1329
末尾ページ 1334
年度 1994
要旨 1.まえがき
 層状に打設される大断面の鉄筋コンクリート(RC)構造物や内巻きをして仮設構造物を本体の構造物として利用するような大断面の構造物では、水和熱による温度応力を受けた後に外荷重を受けることになるが、この温度応力あるいは温度ひび割れの影響が設計上取り扱われることはほとんどないように思われる。これは、温度応力が終局耐力にはとんど影響を及ぼさないと考えられてきたことによると思われる。しかし、使用時の状態においてはひび割れ幅などに影響を及ぼすと考えられることから、筆者らは2層に打設されるマスコンクリートのはりモデルを用いて、温度応力と外力を受けたときに生じる鉄筋応力やひび割れ幅に及ぼす温度応力の影響を実験的に検討してきた。
 その結果、温度応力の影響は明らかに認められ、鉄筋比が小さい場合には、温度応力の影響がない部材と比べて小さな外力で降伏する場合もあることも確認した。2層に打設される部材の温度応力は、拘束体からの拘束と被拘束体および拘束体からなる部材の変形(以下、自由変形という)が拘束されることによって生じるため、自由変形の評価はきわめて大切となる。自由変形は当然拘束体と被拘束体の剛性比に影響され、拘束体の断面積が大きい場合には自由変形が小さく、小さい場合には大きくなり、この自由変形が外的に拘束された場合既設コンクリートが小さいことが必ずしも温度応力の影響が小さいとは限らない可能性がある。
 そこで、本論文の目的の一つは2層に打設されたはりモデルを用いて、新設のコンクリートが水和熱によって温度上昇、降下したときのはりモデルの自由曲げ変形に及ぼす拘束体断面積の影響を把握すること、二つ目はこの自由曲げ変形が地盤あるいは自重などによって完全に拘束されると想定しさらにその後応力が加算される方向に外力曲げモーメントを受けたときの鉄筋応力度やひび割れ幅に及ぼす温度応力の影響を、拘束体断面積とそれによって異なる自由曲げ変形の観点から、把握することなどである。
5.結論
 2層に打設されたマッシブなRCはりモデルの水和熱による自由曲げ変形が完全に拘束され、さらにその後外力を受けたときの力学性状に及ぼす温度応力の影響を拘束体の断面積の観点から実験的に検討した。本研究の範囲内で得られた主な結論は次のようである。
1)被拘束体に同一の温度が発生したとき、拘束体断面積が小さくなると、拘束体からの拘束のみによって生じる温度応力は小さいが、自由変形曲率は大きくなる。この事実は、定量的な評価では十分でない面もあるが、ひずみの直線性を仮定した計算によっても示された。
2)変形拘束モーメントと外力モーメントが重なって作用するとき、既設コンクリートが小さい場合、自由変形曲率が大きく生じるため、鉄筋応力度やひび割れ幅に及ぼす温度応力の影響度は、既設コンクリートの断面積が大きい場合より大きく、既設コンクリートの断面積が小さいことが必ずしも有利に作用しない。
PDFファイル名 016-01-1223.pdf


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