種別 論文
主題 鉄筋コンクリート梁部材の最小せん断補強筋量に関する検討
副題
筆頭著者 石久保猛(大成建設)
連名者1 小谷俊介(東京大学)
連名者2
連名者3
連名者4
連名者5
キーワード
16
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先頭ページ 317
末尾ページ 322
年度 1994
要旨 1.はじめに
日本建築学会から刊行された鉄筋コンクリート造建物の終局強度型耐震設計指針・同解説(以後、指針と略記)では、塑性理論に基づいたせん断耐力評価式が提案されている。石川ら及び嘉村らは、梁部材の曲げ降伏後のせん断破壊実験から、アーチ及びトラス機構が形成される前に脆性的なせん断破壊する場合があることを確認している。指針のせん断設計では、高強度コンクリートを用いた場合、設計上アーチ機構の負担割合が大きくなり、必要なせん断補強筋量が少なく算定されることが指摘されている。一方、せん断補強筋比(pw)は0.2%以上にするという規定があるものの、理論的な検討がなされていない現状である。そこで、本研究では、設計上、脆性的なせん断破壊を防ぎ、指針のせん断設計で想定するアーチ及びトラス機構の形成を保証するために、鉄筋コンクリート梁部材の最小せん断補強筋量を提案することを目的とする。
5.まとめ及び最小せん断補強筋量の提案
3.1節の検討結果から、斜張力破壊を防ぐための最小せん断補強筋量(pw・σwy)を次式で提案する。但し、斜張力破壊耐力はせん断スパン比の影響を受けるという4章での非線形有限要素解析の結果に基づいて、Qdtにはせん断スパン比の影響が考慮されている荒川式によるせん断ひび割れ耐力を用いる。又、斜張力は45°方向に生じるため、cotφtには1.0を用いる。
Pw・σwy=Qdt/(b・jt・cotφt)(3)
3.2節の検討結果から、せん断破壊が先行する場合では最大耐力時のせん断応力度の61%、曲げ降伏が先行する場合では最大耐力時のせん断応力度の75%に相当するせん断補強筋量以上が配筋されていれば、せん断引張破壊を防げると考えられる。ところで、指針では、明快な全体降伏機構を構造計画の原則としているため、梁部材には降伏ヒンジを想定し十分な靭性を期待する。そこで、せん断引張破壊を防ぐための条件として、曲げ降伏が先行する場合での条件、つまり、最大耐力時のせん断応力度の75%相当のせん断補強筋量を用いることにする。又、降伏ヒンジによって、梁部材の耐力は曲げ耐力で決まるので、最大耐力を曲げ耐力(Qfu)で表わす。そこで、せん断引張破壊を防ぐための最小せん断補強筋量(pw・σwy)を次式で提案する。
Pw・σwy=0.75・Qfu/(b・jt)(4)
従って、指針のせん断設計において、安全性の検討が不十分である脆性的なせん断破壊(斜張力破壊とせん断引張破壊)を防ぎ、アーチ及びトラス機構の形成を保証するために必要な最小せん断補強筋量は、式(3)と式(4)による値の大きい方とする。
PDFファイル名 016-01-2052.pdf


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