種別 | 論文 |
主題 | 差分法によるフラットプレートの長期たわみ解析とその適合性 |
副題 | |
筆頭著者 | 植松武是(北海道大学大学院) |
連名者1 | 井野智(北海道大学) |
連名者2 | 谷垣正治(三井建設) |
連名者3 | 山田哲也(三井建設) |
連名者4 | |
連名者5 | |
キーワード | |
巻 | 16 |
号 | 2 |
先頭ページ | 419 |
末尾ページ | 424 |
年度 | 1994 |
要旨 | 1.はじめに フラットプレートは無梁板構造の一種で、スラブを柱頭支板のない柱で直接支持する構造である。鉛直荷重はスラブと柱が負担し、水平力は剛性の高い外壁架橋などが負担するのが通例である。同構造は、梁または支板によるデットスペースが生じないため階高を低くしても広い室内空間を得ることができ、施工面でも、型枠の単純大型化、鉄筋工事作業の単純化とそれらに伴う生産性の向上といったメリットがある。外壁が多く、大空間が要求されるショッピングセンター、倉庫、工場、駐車場等への適用が考えられる。この様な鉄筋コンクリート(以下RCと略記)造のフラットプレートでは、梁および柱頭支板の排除とスパンの大規模化に伴うたわみの増大が使用性能上問題となるため、現在では、スラブへのプレストレス導入が比較的容易なアンボンド鋼材との併用を前提とした実施例が多いようである。 現行の日本建築学会RC構造計算規準では、無梁板構造については、柱頭に支板をもつ、いわゆるフラットスラブ形式のみを対象としており、フラットプレート形式についてはプレート厚限界値など、設計の指針となる具体的な条項は記されていない。海外においても、フラットプレートの使用荷重下の長期たわみ解析法として、柱列帯と柱間帯を一方向スラブと仮定して求めた値を重ね合わせるいくつかの簡便法が報告されているに過ぎず、合理的で信頼性の高い設計を行うためには、スラブの二方向性や連続性などを考慮し、たわみ性状を適正に評価できる予測法の確立が必要である。 これまでに著者らは、床スラブに曲げひび割れが生じてスパン方向の剛性分布が一様でなくなる、いわゆる、変断面の直交異方性板について、Branson等の等価剛性法を用いた弾性差分解析を繰り返すことでコンクリートのひび割れと時間依存性を考慮した長期たわみを算出する方法と、スラブの固定支持辺に強制変形角を与えて定着筋の伸びによる付加たわみを得る方法とを提案している。本研究では、これらの方法に準拠したフラットプレート用長期たわみ予測計算プログラムを開発し、海外における実在建物におけるフラットプレートの実測値と比較して、実用上十分な精度でその長期たわみを予測し得ることを明らかにし、パラメータ解析による障害の生じないプレート厚等の検討を行った。 5.まとめ 鉄筋コンクリート床構造の使用性能評価システムを構築することを目的として、本研究では、その中心課題である二方向床スラブの使用荷重下における長期たわみ予測計算法について、筆者らが段階的改良を重ねてきた差分法による解析手法を整理し、アンボンド鋼材の普及などにより実施例が増えつつあるフラットプレートへの適用を試みたもので、その要約を以下に列挙する。 1)フラットプレートの任意材令における長期たわみを本法により比較的よく予測し得ることを、海外における実測データにより検証した。 2)フラットプレートを設計する際に必要となる主要点の弾性応力とたわみの図表を提示した。 3)必ずしもプレストレスの導入を必要としない規模のフラットプレートの長期たわみは弾性たわみの7倍前後となる。 4)前項の長期たわみ倍率と弾性たわみから、たわみ障害の生じないプレート厚を算定できる。 5)無梁板構造のたわみ制御に及ぼす支持板およびプレストレスの導入の有効性を検討した。なお、本研究におけるPRCフラットプレートの長期たわみ解析は、アンボンド鋼材のつり上げ力のみを考慮した近似計算である。プレストレスの水平成分を勘案した解析や、柱への定着を前提としたフラットプレート補強筋の伸びの適性評価などは今後の課題としたい。 |
PDFファイル名 | 016-01-2069.pdf |