種別 論文
主題 鉄筋コンクリート柱の耐震性能とその動的挙動
副題
筆頭著者 山口隆裕(横浜国立大学)
連名者1 武村浩志(横浜国立大学大学院)
連名者2 柳井修司(横浜国立大学)
連名者3 池田尚治(横浜国立大学)
連名者4
連名者5
キーワード
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先頭ページ 1265
末尾ページ 1270
年度 1994
要旨 1.はじめに
鉄筋コンクリート構造物を対象として振動台による地震再現実験を何種類もの供試体を用いて行なうことは、物理的および費用の面で決して容易ではなく、また、それらを観察する機会に恵まれることは極めて少ないのが現状である。著者らは、このことを考慮して、構造物の地震時の応答挙動を視覚上において時刻に忠実に生起させるために、準動的(仮動的)載荷システムにビデオによる動的映像記録化のシステムを組み入れる方法を開発した。そして、この方法を用いて、力学的性能の異なる8つのタイプの鉄筋コンクリート(以下、RCと記す)柱の地震による動的応答挙動と破壊に至る過程とをビデオテープに収録した。本研究は、得られたビデオテープと静的及び準動的載荷実験の結果を用いて、視覚および力学の両面からRC柱の耐震性能を土木学会のコンクリート標準示方書(以下、示方書と記す)に基づいて評価したものである。
ここで動的映像記録化のシステムとは、観測された地震波の時間軸と対応した動的映像をビデオテープに得るためのシステムである。その方法は、過去に記録された地震波を供試体に準動的に作用させ、その応答をコンピューターを介して具現する際に、ビデオによる各微小時刻毎の撮影を行い、それを再生することによって、供試体の弾塑性地震応答挙動を実時間スケールで動的映像として得るものである。このシステムの優れている点は、振動台を用いることなく供試体の地震時の動的弾塑性応答を視覚上でビデオ再生装置上に表わすことができること、振動台ではほとんど不可能な供試体寸法のものでも容易に実験できるので、大型部材の映像が得られること、振動台実験の場合と異なり供試体の座標は不動であり、供試体の変形挙動の観察が極めて容易であること、およびビデオプリンターを用いて任意時刻の映像を即座に取り出せること、である。
6.まとめ
本研究の結果をまとめると次のようになる。
(1)開発した動的映像記録化のシステムは、RC構造の構造細目の相違による動的応答の相違などを認識するのに有効な手段であった。
また、地震波の任意の時刻の被災状況をビデオプリンターにより出力することにより、地震被災状況の比較を容易に行なうことが可能となった。
(2)実際に発生した過去の大地震の地震波を用いて、動的な映像としてRC柱の力学的特性ごとの地震被害のパターン化および分類を行なうことができた。
(3)土木学会コンクリート標準示方書に示される構造物の限界状態による補正係数(ν4)の値がエルセントロ地震波に対して安全側に設定されており妥当であることが検証された。
(4)昭和55年以降の示方書に準拠して軸方向鉄筋の引張側定着を設計した場合の地震時の安全性が確認された。また、RC柱の根元部のフープ筋の配筋状況が、終局状態の挙動に大きな影響を与えると考えられた。
PDFファイル名 016-01-2211.pdf


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