種別 論文
主題 1993年釧路沖地震の地震動の性質と鉄筋コンクリート造建物の被害の関係
副題
筆頭著者 境有紀(東京大学)
連名者1 田才晃(東京大学)
連名者2 南忠夫(東京大学)
連名者3
連名者4
連名者5
キーワード
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先頭ページ 1307
末尾ページ 1312
年度 1994
要旨 1.はじめに
1993年1月15日に、北海道釧路市の沖合13.7km、深さ107kmを震源とし、マグニチュード7.8の「1993年釧路沖地震」が発生した。震源に近い釧路市では震度6(烈震)の強い揺れに襲われた。強震記録によると、釧路地方気象台の地動水平加速度の最大値は、建設省建築研究所の強震計で711cm/s2と非常に大きな値を記録した。以上の情報から、釧路では建物にかなりの被害が生じたと予想されたが、被害程度は、一部崩壊1、一部大破2、中破2であった。過去の大きな地震における鉄筋コンクリート造建物の被害は、例えば1968年十勝沖地震で大破以上15、中破30、1978年宮城県沖地震における仙台市卸町の団地内で、大破以上10、中破12であったことを考えると、過去の大きな被害地震に比べ鉄筋コンクリート造建物の被害は少なかったといえる。
大加速度を記録した釧路地方気象台周辺の地域でも、強震計が設置してあった釧路地方気象台の建物、道路をはさんですぐ隣に建っている北海道開発局釧路開発建設部庁舎は、いずれも小破程度の被害であり、その周辺でも大きな被害を受けた建物は見当たらなかった。
そこで、釧路地方気象台の強震記録と既往の大地震の強震記録を用いた一自由度系による地震応答解析を行ない、両者の比較を行なうことによって、釧路地方気象台の強震記録の性質について検討した。
8.まとめ
1993年釧路沖地震による強震記録のうち、大きな地動最大加速度をもつ釧路地方気象台の強震記録と既往の強震記録を用いて一自由度系振動系モデルによる地震応答解析を行ない、両者の比較を行なうことによって、釧路地方気象台の強震記録の性質について検討した。
その結果、(1)建物の弾塑性性状を考慮すれば、建物は塑性化することによって周期が伸びること、(2)釧路地方気象台の強震記録は短周期成分には非常に大きなパワーがあるが、周期が長くなるに従いそのパワーは急激に低下すること、(3)建物の耐力は低層のものほど大きいこと、の3つの理由により、釧路地方気象台の強震記録による建物の応答塑性率あるいは被害度は、想定する塑性変形が小さい場合は既往の強震記録より大きくなったが、想定する塑性変形が大きい場合は逆に小さくなった。地震動の破壊力は、建物等の構造物にどれだけ被害を与えるかによって計られるべきであり、そういう意味では、釧路地方気象台の強震記録の破壊力は、既往の強震記録に比べて、構造物にある程度の被害は与えるが、大きな被害を与える性質のものではないことがわかった。
PDFファイル名 016-01-2218.pdf


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