種別 論文
主題 FEM解析による鉄筋コンクリート造連層耐震壁のせん断強度に関する研究
副題
筆頭著者 范啓民(千葉大学大学院)
連名者1 野口博(千葉大学)
連名者2
連名者3
連名者4
連名者5
キーワード
16
2
先頭ページ 1343
末尾ページ 1348
年度 1994
要旨 1.はじめに
日本建築学会の「鉄筋コンクリート造建物の終局強度型耐震設計指針」の塑性理論に基づいた耐震壁のせん断強度式(以後指針式と呼ぶ)では、中間梁の主筋は壁のせん断強度に直接には寄与しないものとし、せん断抵抗機構を層間トラス機構と層間アーチ機構に分離し、それらの和としてせん断強度を各層毎に算定する。しかし、トラス機構の角度は、せん断スパン比に関わらず45度に固定されている。筆者らの研究では、連層耐震壁の実験結果との比較によれば、指針式に従い階高を用いて算定したせん断強度は実験値を過大評価する傾向にある。最近では、壁谷澤は、中間梁の主筋がせん断強度に寄与するものとし、連層耐震壁全体を連層アーチ機構、梁筋トラス機構と壁筋トラス機構に分離し、それらをまとめて設計する方法(以後壁谷澤式と呼ぶ)を提案し、実験結果により検証している。また、長沼は、連層耐震壁を一つの壁と見なし、中間梁の主筋が壁横筋と同等程度で壁のせん断強度に寄与するものとし、せん断強度を算定する設計法(以後長沼式と呼ぶ)を提案し、有限要素解析により検証している。しかし、3層以上の実験データが極めて少ないため、両式の連層耐震壁に対する適用性を有限要素解析により詳細に検証する必要があると思われる。そこで本研究では、有限要素解析手法を用い、4〜8層の幅高さ比の大きな連層耐震壁を中心に、せん断強度への影響因子をパラメータとした解析を行い、せん断強度に及ぼす因子の影響度及び指針式や既往の提案式の妥当性を検討する。
5.まとめ
(1)連層耐震壁のせん断抵抗機構においては、側柱と壁板のコンクリートによるアーチ機構の負担せん断力はほぼ一定値で、壁筋比の増加によるせん断強度の上昇は、そのほとんどがトラス機構の負担せん断力増加によるものである。
(2)せん断強度が幅高さ比の増加に伴い低下するが、壁筋比の増加に従い、幅高さ比のせん断強度に及ぼす影響は減少する。
(3)頂部加力と各層加力に比べ、加力方法がせん断強度に与える影響は顕著には見られない。
(4)側柱軸力はせん断強度にほとんど影響しない。
(5)中間梁のあるものと中間梁の無いものに比較すると、せん断強度がやや高くなるが、大きな違いが見られなかった。
(6)連層耐震壁全体を一つの壁板とみなし、中間梁の主筋を考慮してせん断強度を算定する方法は、せん断強度を合理的かつ安全側に評価することがFEM解析による検討から認められたが、背の高い連層耐震壁に対しては、cotφ=1.0の仮定をFEM解析での応力の角度の評価などにより、再考する必要がある。
PDFファイル名 016-01-2224.pdf


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