種別 報告
主題 壁式RC造における十字形壁-床交差部の破壊性状に関する実験的検討
副題
筆頭著者 Algirdas A. Kudzys(北海道大学大学院)
連名者1 北野敦則(北海道大学)
連名者2 後藤康明(北海道大学)
連名者3 城攻(北海道大学)
連名者4
連名者5
キーワード
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先頭ページ 823
末尾ページ 828
年度 1994
要旨 1.序
東欧諸国等の非地震国では、プレキャストスラブを用いた壁式現場打ち鉄筋コンクリート構造が多く用いられている。この種の壁式構造は、桁行方向に耐震壁(または剛性壁とも言う)が少なく、この方向の水平抵抗は壁・スラブ交差部の面外耐力に大きく依存している。これらの国の壁式現場打ち鉄筋コンクリート構造は、壁ないしは床にプレキャスト板を用いた合成部材とする事が多く、主に5〜16階程度の住宅建築に採用されている。住宅建築では、安全性が最優先に考えられる事、規格化、量産化が求められる事、等の理由によりプレキャスト構造が最も適していると言えよう。又、住宅建築の場合、積載荷重はそれほど高くないので、スラブには空洞スラブが広く用いられている。
日本では、壁式プレキャスト鉄筋コンクリート構造に関して、5階以下の低層建物の場合は日本建築学会による設計規準に基づいて設計される。また、6階建て以上の高層建築の場合は、一般化された設計規準はまだ設定されておらず、日本建築センターの構造評価を受けて実施設計がなされている。しかし、いずれの場合にも大きな地震力に抵抗させるために壁式構造では耐震壁の面内方向の耐力に期待して設計され、これについては多くの研究がある。
National Research Council Canadaによると、近年の地震状況から全世界で地震が起きる地域が広がっており、過去に地震が起きなかった地域でも地震が発生する可能性が示されている。この意味に於いても、東欧諸国等の非地震国に見られるように、地震荷重を考慮せず設計された建築物の水平加力時の破壊性状を明らかにすることは重要である。
本研究は、東欧諸国で一般的に用いられているハーフPCaスラブと現場打ちRC壁とから構成される壁式構造を対象として、鉛直荷重と同時に面外水平力を受ける壁スラブ交差部の破壊性状の把握と耐震性能の向上について実験的に検討したものである。
4.結語
今回の実験では、鉛直加力と同時に面外方向に水平力を受ける壁・合成床交差部の剪断抵抗性状に及ぼす影響を明確にすること目的として、壁・スラブの配筋及び鉛直加力条件を変数とした3体の試験体を用いて破壊性状を検討した。水平力の増大に伴って各試験体ごとに亀裂の伸展と破壊状況には相違が現れ、剪断破壊、曲げ破壊及びその組合わせによって最大耐力に至った。
ダブル配筋とした壁スラブ交差部において剪断破壊した試験体の剪断終局耐力は、柱梁接合部の評価式を基にして壁の有効せいを用いることで推定できること、剪断破壊後の耐力劣化は少なく、面外抵抗型壁式構造においてもダブル配筋が効果的であること、などが明らかになった。
なお壁式交差部の破壊機構を把握するため、他の影響要因を変数とした載荷実験及びRC弾塑性FEM解析を続行中である。
PDFファイル名 016-02-2137.pdf


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