種別 委員会報告
主題 石灰石微粉末研究委員会報告
副題
筆頭著者 大門正機(東京工業大学)
連名者1 桝田佳寛(宇都宮大学)
連名者2 十河茂幸(大林組)
連名者3 坂井悦郎(東京工業大学)
連名者4
連名者5
キーワード
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先頭ページ 49
末尾ページ 58
年度 1998
要旨 日本コンクリート工学協会は、石灰石微粉末を用いたコンクリートの技術の健全な発展を図ることを目的に、1996年より1998年まで石灰石微粉末研究委員会を設置し、これら技術の現状を整理するとともに、それらの成果と共通試料による試験結果から石灰石微粉末の品質規格(案)と石灰石微粉末を用いたコンクリートの施工マニュアルを作成した。コンクリート技術の現状は委員会全体でまとめ、さらに、品質規格WGと施工マニュアルWGを設置し調査研究活動を行った。石灰石微粉末を用いたコンクリートの技術の現状においては、石灰石微粉末とそれを用いたコンクリートの性質を中心にまとめた。石灰石や石灰石微粉末の生産量や用途などを中心に我が国の現状を整理し、さらに石灰石微粉末のカルシウムアルミネートとの反応やセメント初期水和の促進効果を明らかにした。特に、石灰石微粉末をコンクリートへ混和した場合の効果は、セメントを置換して利用する場合と、セメント量を変化させずに利用する場合があり、これにより全く異なった結果となることが多いのでは、本研究委員会では、これらの点に十分な注意を払うよう努力してとりまとめた。石灰石微粉末を混和したフレッシュコンクリートについては、その流動特性や材料分離抵抗性についてまとめ、さらに石灰石微粉末を混和したコンクリートの製造あるいは石灰石微粉末の貯蔵や運搬については、アンケートを実施し、それらの結果をとりまとめ概説した。石灰石微粉末の利用目的により、比較する基準コンクリートが異なるので、これらの点に注意して、水和熱、自己収縮や乾燥収縮などの体積変化、強度特性や微細組織および中性化、耐凍害性や鉄筋腐食などの耐久性について、石灰石微粉末を用いた硬化コンクリートの特性を整理した。また、特殊な考慮を必要とするコンクリートとして、マスコンクリート、RCDコンクリート、硬練りコンクリートおよび工場製品について、実際の適用例を中心に概説した。また、石灰石微粉末を混和材として利用しているのは、我が国のみであるが、既にセメントへの混合は欧州を中心に進められており、その品質規格や複合ポルトランドセメントなどの規格を紹介した。最後にアンケートを実施し(回答12団体)、とりまとめた適用例(74例)について、適用構造物、使用目的、配(調)合、施工数量や用いた石灰石微粉末の性質などをとりまとめた。また、本研究委員会では、コンクリート用石灰石微粉末の品質規格(案)を作成し、解説も行った。本研究委員会では、石灰石微粉末を石灰石(カルサイト)を粉砕したものとして定義し、長期的な強度発現に寄与することはないので結合材としては扱わないこととした。アラゴナイトやクリンカーと混合粉砕したものなどはデータの蓄積が十分でないので、今回の品質企画(案)からは除外した。本研究委員会の提案した品質規格(案)は、石灰石微粉末の純度など欧州の規格に比べると、かなり高い値になっている。石灰石微粉末の純度が低くても、圧縮強度に必ずしも悪影響を及ぼすわけではないが、流動性の低下やメチレンブルー吸着量の増加するものがあり、今回の研究委員会は健全な石灰石微粉末の利用を促すことを主眼においたので、品質規格(案)の規準値を高いところに設定した。なお、我が国の場合には、表土の影響などを取り除けば、本研究委員会の提案した品質規格(案)を満足するものは十分に確保することが可能である。以上のような石灰石微粉末を用いたコンクリートの技術の現状や本研究委員会活動の一環として行った粉末度の異なる共通試料による試験結果などを参考にして、石灰石微粉末を用いる場合に留意すべきことなどを中心に石灰石微粉末を用いたコンクリートの施工マニュアルとしてまとめた。また、資料として石灰石微粉末を用いたコンクリートの適用事例として、適用構造物、配(調)合、施工数量および石灰石微粉末の特性などを一覧表にまとめた。さらに、参考文献を一覧表にまとめるとともに、何を中心に記述されているかが理解できるように内容一覧表も整理した。ここでは、本研究委員会が提案した石灰石微粉末の品質規格(案)を紹介するとともに、本研究委員会でまとめた石灰石微粉末を用いた技術の現状を基に作成した石灰石微粉末を用いたコンクリートの施工マニュアルについて概説する。
PDFファイル名 020-03-0006.pdf


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