種別 論文
主題 寒冷地における海岸曝露コンクリート供試体の表面剥離性状
副題
筆頭著者 鮎田耕一(北見工業大学工学部)
連名者1 林正道(北見工業大学工学部)
連名者2 佐伯昇(北海道大学工学部)
連名者3 藤田嘉夫(北海道大学工学部)
連名者4  
連名者5  
キーワード
4
先頭ページ 49
末尾ページ 52
年度 1982
要旨 1.まえがき
 北海道の海岸・港湾のコンクリート構造物には、表面のモルタルが剥離して粗骨材が露出するという現象が非常に多くみられている。北海道土木技術会コンクリート研究委員会(委員長、藤田嘉夫)が昭和53年度施工の海岸・港湾コンクリート構造物を対象に行った実態調査1)の結果によれば、施工から1冬経過後に調査対象構造物の約70%にこの種の剥離が発生していて、かつ、北海道の沿岸全域に及んでいる。筆者らはこの剥離の発生原因の解明と防止対策の確立に資するために実験的研究を行ってきているが、その一環としてオホーツク海沿岸に昭和54年8月から供試体を曝露して、材料・配合・養生方法などが剥離に及ばす影響について検討をしている。この曝露実験の目的は実験室における促進試験では十分に把握しきれない剥離の要因を明らかにすることにあり、冬期間の着雪・日照条件なども考慮して供試体の形状・位置を決めている。また、北海道の海岸・港湾コンクリート構造物では混合セメントの使用率が高く、前述の実態調査の結果でもフライアッシュセメント、高炉セメントの使用率の合計は93%にも及んでいて、いわゆる省資源、省エネルギーの一翼を担っているが、これらのセメントの使用と表面剥離との関係も明らかにするために、混合セメント使用の供試体を多く曝露している。曝露実験の概要と曝露開始から1冬経過後の剥離状況については、すでに報告2)したが、本文では2冬経過後の剥離状況を中心に剥離に及ぼす諸要因こついて検討した結果を報告する。
4.結論
 寒冷地における海岸・港湾コンクリート構造物の表面剥離性状を明らかにするために、材料・配合・養生方法の異なる21個の大型供試体をオホーツク海沿岸に曝露した。曝露開始から2冬経過後の剥離状況を要約すると次のようになる。(1)曝露開始から1冬経過後にすべての供試体に剥離が生じたが、供試体の部位・配合などにより、剥離の程度にかなりの差異があった。2冬経過後の剥離面積は全面を対象にした場合、最も広い供試体で9.0%、平均で2.0%である。(2)凍結融解回数を多く受ける部位、あるいは凍結融解回数が少なくても飽水度が高い部位に剥離が多く発生した。後者の例では、2冬経過後の剥離面積が25%に達している部位をもつ供試体がある。(3)混合セメントを使用した場合W/C=0.55の供試体の剥離はW/C=0.45の供試体に比べて多い。(4)混合セメント使用の供試体の剥離は、普通ポルトランドセメント使用の供試体に比べて多い。混合材の分量が多い程、剥離が多く発生する傾向にある。このことから強度発現性状が剥離の発生に影響を及ぼしていると考えられる。(5)養生水、養生日数が剥離に及ぼす影響は、2冬経過後の段階では明らかになっていない。(6)使用セメントの種類より程度は異なるが、材令28日の圧縮強度(現場養生)が250kgf/cm2以下になると、凍結融解期間中の飽水度が高い部位では剥離面積が増大する傾向にある。
PDFファイル名 004-01-0013.pdf


検索結果へ戻る】 【検索画面へ戻る