種別 論文
主題 鉄筋コンクリートはりの部材の破壊過程とじん性評価
副題
筆頭著者 小柳洽(岐阜大学工学部)
連名者1 六郷恵哲(岐阜大学工学部)
連名者2 岩瀬裕之(岐阜大学大学院)
連名者3 山内茂(岐阜大学工学部)
連名者4  
連名者5  
キーワード
4
先頭ページ 345
末尾ページ 348
年度 1982
要旨 1.まえがき
 じん性は、単に強度だけでは評価しえない性質であり、材料レベルではねばり強さという概念でとらえられており、一般に材料が破壊を生じる際のエネルギー吸収能によって表わされている。構造物や構造部材の力学的特性を表わす上では、単に強度ばかりでなく変形性状も加えた評価が必要である。とくに耐震設計の分野では構造物の持つねばり強さが問題となり、これを評価するためのパラメタとしてじん性率がよく用いられている。じん性率は、構造物(あるいは部材や断面)の塑性変形能を表わす指標として、塑性変形の弾性変形に対する比によって表示されている。本研究においては、鉄筋コンクリート(RC)はりのじん性(エネルギー吸収能)とその構成材料であるコンクリートおよび鉄筋のじん性との閑係を明らかにするとともに、RCはりのじん性の評価方法を確立することを目的としている。曲げを受けるRCはりについて考える。一定の変位に至る間のRCはりの吸収エネルギーWaは、RCはり内に蓄えられる回復性の弾性ひずみエネルギーWrと鉄筋の塑性変形やコンクリートの破壊に消費される非回復性の消散エネルギーWitとからなる。本研究では主として消散エネルギーWitを対象とし、RCはりの曲げ破壊の過程における消散エネルギーに果す鉄筋とコンクリートの役割を明らかにするため、3種類のコンクリートと3種類の鉄筋比を組み合わせた9種類の単鉄筋長方形はりについて載荷実験を行ない、荷重変位曲線ならびに消散エネルギーについての実験結果と計算結果との比較検討を行なった。
4.結論
 本研究で得られた結果を要約すると以下のようになる。(1)曲げを受けるRCはりの場合には、鉄筋ひずみが増加から減少に転じる点が存在する。この点をR点と名付けると、鉄筋が降伏している場合には、R点において鉄筋で消散するエネルギーWisが増加しなくなり、またR点をすぎるとはりの耐力は急激に低下する。(2)鉄筋ひずみが降伏点ひずみをはるかに超えていれば、はり全体で消散するエネルギーは、コンクリート応力ひずみ曲線において、コンクリートひずみがはり上縁ひずみεcrに至るまでの曲線で囲まれる面積に比例する。(3)R点におけるはり上縁ひずみεcrは、コンクリートの応力ひずみ曲線の下降域で応力が鉄筋比と鉄筋降伏点強度との積(pσsy)に等しくなるひずみと一致する。εcrが求まれば、コンクリートの応力ひずみ曲線と鉄筋比と鉄筋降伏点強度によって、R点における鉄筋ひずみεsrが求まる。このεsrは本論で述べた鉄筋消散エネルギーの算定式の適用限界を与える。
PDFファイル名 004-01-0087.pdf


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