種別 論文
主題 気温変化によるRC建物のひびわれ
副題
筆頭著者 川上英男(福井大学工学部)
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キーワード
5
先頭ページ 253
末尾ページ 256
年度 1983
要旨 まえがき
コンクリートのひびわれの原因のうち外的要因に関するものとしては、環境温度・湿度、凍結・融解の繰り返し.火災、その他いくつかが挙げられている。ここに報告するのは北陸地方の鉄筋コンクリート造3階建校舎の例で、外気温と日射の変化によって、コンクリートが膨張と収縮を操り返した結果、桁、柱、腰壁及び床スラブなど構造部材にひびわれを生じたものである。ひびわれ幅は桁では8mm、柱では約2mmに及び.サッシュの施錠が困難になる程の変形を生じるに至った。この校舎の一部(第1期工事)については、その枕略を既に報普してあるが、第2、第3期工事(北棟)でも同様の損傷を生ずるに至った。本報告はこの北棟のひびわれの実態や柱の傾斜などの調査結果を主として、この種のひびわれと建物変形の挙動を述べ、その対策の資料とするものである。
むすび
本調査の結果と考察を要約して以下に示す。
1)施工後3年では、構造部材の拘束効果のため、コンクリートの温度膨張によるひびわれは未成熟であった。
7年後にひびわれは大凡発生しつくしたと見られるが、なお、ひびわれによっては10年まで拡幅するものも見られた。
2)一旦ひびわれが生ずると乾燥収縮による変形が集中したり、あるいは塑性域を生ずるような大幅なひびわれ部では残留変形の蓄積やクリープ変形の促進などのため、単なる温度変化による自由伸縮より過大な変形を招く結果となる。すなわち、この種のひびわれが安定に至らず活性を保つ背景には、温度変化の他に、こういった要因も関与していることを考慮して、ひびわれの補修対策を講ずべきである。
3)ひびわれの数の増加や拡幅によって構造体の拘束性能が衰えた後は、温度変化に見合う変形性状となる。
4)本例の場合、0.3mmのひびわれ制限幅を考慮すると建物の許容長さは大幅に小さいものとなる。
本報告は気温変化によるひびわれの典型的な実例を報告したものである。この種の損傷を防ぐには、建物を適当な長さに構造的に分割する他、施工時期にも留意する必要がある。また。そのひびわれを低減するには建物外周部の配筋を増して、ひびわれの分散、塑性域発生危険の低下、クリープの抑制をはかることが肝要である。これらの定量的検討に対しては、材料断熱設計のほか、構造特性や気候の地域的特性など多方面の検討が必要となろう。
PDFファイル名 005-01-0064.pdf


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