種別 論文
主題 鉄筋コンクリート壁要素の圧縮変形に関する研究
副題
筆頭著者 池田尚治(横浜国立大学工学部)
連名者1 大塚昭夫(首都高速道路公団神奈川建設局)
連名者2 恵谷舜吾(首都高速道路公団神奈川建設局)
連名者3 山口隆裕(横浜国立大学工学部)
連名者4  
連名者5  
キーワード
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先頭ページ 577
末尾ページ 580
年度 1984
要旨 1.緒言
 鉄筋コンクリート構造物の力学的挙動を解明しようとする場合、実構造物にできるだけ相似で寸法の大きい供試体を用いて実験を行うのが望まれるが、実験の規模が大きくなって種々の困難を伴うことになる。そこで、実験を合理的に行う方策として実験を2段階に分け、第1段階では、構造物の一部分をとり出して要素としての性能を把握し、第2段階で縮尺率の大きい全体モデルの挙動を実験的に把握して両者を複合させ、実構造物の性能の検討を行うことが考えられる。本研究は首都高速道路公団が横浜港横断橋の下部構造に採用した多柱基礎構造の設計検討のための基礎資料を得ることを目約とした一連の実験研究の一部をなすものである。この多柱基礎構造は、円環柱とフーチングとから成るが円環柱には地震時に大きな圧縮力と水平力とが作用するのでこれに関する検討が重要である。検討の方法としては上述の方策により第1段階として円環柱の一部を想定した壁要素による供試体を用いて壁要素の一軸圧縮実験を行い、軸方向鉄筋、フープ筋、およびつなぎ筋の効果と圧縮破壊時の靭性との関係を求めた。本論文はこの実験結果を報告するとともに、この成果を踏まえて鉄板コンクリートの圧縮変形特性の基本約事項について述べるものである。
6.考察と結論
 コンクリートの圧縮変形挙動については既に極めて多くの研究報告があり、ひずみ軟化域まで含めた図‐11の点線のような曲線がコンクリートの材料としてのひずみ特性として広く知られている。しかしながら、このような曲線は変形の計測値から求めた平均的なひずみであっで材料そのもののひずみとは考えられない。局部的なひずみの計測値は図‐11の実線で示されるように破壊時にひずみの値が急激に逆方向に進むことがしばしば見られる。これは、ひずみゲージ以外の所でコンクリートが破壊してゲージ部分のコンクリートの応力が解放され、かつ、荷重は供試体の中心部で負担されている場合に生じるのである。コンクリート中に鉄筋が含まれていたり、コンクリートに大きな偏心を持つ圧縮力が作用する場合には多軸応力状態となってコンクリートを横方向に拘束するため材料としてのコンクリートの圧縮性能が向上する。終局限界状態を検討する場合、コンクリートの圧縮応力分布の形状が問題となるが、正負繰返し荷重を受けてコンクリートにひびわれが入ることをも考えると、鉄筋による拘束が大きい場合でもコンクリートに過大な圧縮変形性能を期待することは好ましくないと思われる。本実験のデータから判断してコンクリートの最大圧縮ひずみは0.4%を越えないとして考えるのがよいと思われる。
 鉄筋コンクリート柱の中心軸圧縮荷重に対する耐力は、破壊時の偏心の影響その他によって必ずしも計算耐力に容易に達する訳ではないことが本実験で示された。このことは圧縮支配型の鉄筋コンクリート部材の耐荷力を検討する場合に極めて重要であると思われる。
PDFファイル名 006-01-0145.pdf


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