種別 論文
主題 形鋼を用いたコーベルの耐力性状に関する実験的研究
副題
筆頭著者 原忠勝(日本大学工学部)
連名者1 北田勇輔(日本大学理工学部)
連名者2  
連名者3  
連名者4  
連名者5  
キーワード
7
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先頭ページ 505
末尾ページ 508
年度 1985
要旨 1.緒言
 各種の鉄筋コンクリート部材のうち、橋脚柱頭部、橋台、およびプレキャスト部材の接合部など、に見られるコーベル(或いはブラケット)は、スパンの短い片持ち梁である。スパンが短いため、曲げモーメントよりもせん断カの影響を受け、破壊は斜めひびわれの発生を伴ったせん断破壊を生ずることが多い。従って、相対的に小さな構造物にもかかわらず、せん断破壊を避けるには比較的多くのせん断補強筋を必要とし、その結果、配筋が複雑になり易く、施工上も合理的な配筋法の検討が望まれる分野である。近年、施工上の合理化と靭性を高めるために、鉄筋の代りに形鋼を用いる試みがなされている。このうち、池田らは、施工上の合理化ばかりでなく、せん断力やネジリ力に対する靭性を高めるために、形鋼をブレーシング材によってトラス状構造とした形鋼鉄筋併用コンクリート構造について検討を行っている。この結果、40×40×3mmの山形鋼を用い、橋脚供試体とはり供試体の結果から、比較的良好な補強効果が得られたことを報告している。また、MattockとOaafarは、H鋼をブラケット部材として、これらの性状について検討し、設計法を提案している。
 これより、本研究においても、配筋法の簡略化と架設時に用いた形鋼をそのまま使用することを目的とし、コーベル部材への適用について、形鋼を鉄筋の代りに用いた比較的小型のコーベル試験体を作製し、せん断スパンと有効高さの比(a/d)および載荷板の幅(Wb)を実験条件として載荷試験を行い、実験的に検討したものである。

4.結び
 配筋法の簡略化と架設時に用いた形鋼をそのまま使用することを目的とし、比較的小型のコーベル試験体の耐力性状について実験的に検討を行った。これらの結果より次のことが要約される。
(1)ひびわれ様相、配壊性状、たわみ、および形鋼のひずみ性状については、鉄筋コンクリートコーベルの場合とほぼ同様の傾向が得られた。また、これらの性状に対しては、載荷板の幅よりa/dの影響が大きい。
(2)一方、破壊耐力はa/dばかりでなく載荷板の幅によっても異なり、a/d=0.3、0.5の場合、載荷板の幅が大きくなるのに従って大きい結果が得られた。a/d=0.7の場合、載荷板の幅に関係なく、ほぼ同様な耐力を示した。
(3)しかし、全ての試験体は斜めひびわれの発生を伴ったせん断破壊を生じ、これら破壊耐力は、一般鉄筋コンクリートコーベルの破壊耐力に対する考え方を通用しても良いように思われる。
 以上、形鋼を鉄筋の代りに用いたコーベルについて、その耐力性状より、本実験の範囲においては、適用性に対する知見が得られたように思われる。しかし、本実験は小型の試験体による結果であり、実施に際しては、今後検討すべき事項があるように思われる。
PDFファイル名 007-01-0127.pdf


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