種別 報告
主題 コンクリート廃棄物を用いた再生セメント及び再生コンクリート
副題
筆頭著者 吉兼亨(大有建設)
連名者1 竹島宏侑(大有建設)
連名者2 中島佳郎(大有建設)
連名者3  
連名者4  
連名者5  
キーワード
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先頭ページ 861
末尾ページ 864
年度 1986
要旨 1.はじめに
 都市再開発、道路地下埋設工事などで発生するセメントコンクリート廃棄物や、生コン工場の廃水処理により回収する生コンスラッジは、建設廃棄物、産業廃棄物として扱われ、環境保全、埋立地確保などの面でその処分に苦慮しており再生利用技術の開発が強く望まれている。セメントコンクリート廃棄物は破砕加工して補装の路盤材に再生利用されているが、まだごく一部に限られており、発生量全件からみればわずかにしか過ぎない。また、コンクリート用骨材として再利用する研究も行われているが、ワーカビリチィに欠けるなどの問題もあり、特にコンクリートを再生した再骨材にあっては乾燥収縮が普通コンクリートの2倍程定となることが指摘されており、著者らの実験でもコンクリートの暴露テストにおいて容易にひびわれが発生すること、中性化速度が早いことが確認されている。これらの現状から判断して今のところコンクリート用再生骨材として用いうるのは粗骨材のみのようである。一方、生コンスラッジの方は、昭和47年にコンクリート中に若干混入しても品質に支障を来たさないことを発表した。また、日本コンクリート工学協会においても、生コンスラッジの練り水への混入について研究委員会が設けられ有害量の限界が示されて、スラッジ水の使用が可能となった。しかし、これは単に廃棄物の発生量を削減することにはなるものの、使用を誤ればコンクリートの品質を低下させることはあっても、向上には殆どつながらないものだけに、前向きの再利用とは云い難いものであった。
 そこで、著者らはこれらの廃棄物、即ち、セメント水和物を主体とした廃棄物の、より高度な再利用を計るため、再生セメントの開発研究に取組み、高炉水滓とセメント水和物を主原料とし水硬性セメントの製造技術を開発し、その再生セメントを用いたコンクリートの各種性状が、十分な実用レベルに達していることがわかっためで、ここにその概要を報告するものである。
4.まとめ
 再生セメントの特徴とそれを用いたコンクリートの一般的特徴についての試験結果を示した。これらの結果から、
(1)再生セメントを用いたコンクリートでは、高炉セメントB種に比べて材令28日で等強度を得るためのセメント量が若干多くなることが認められる。しかし、コンクリートの長期強度は高炉B種に比べて増伸する傾向にあるので、長期材令で配合設計をおこなえばセメント量はそれほど増量しなくともよくなる。
(2)硬化乾燥収縮では材令28日等強度コンクリートにおいて高炉B種と差がない。
(3)凍結融解試験の結果では高炉B種に若干劣る。
(4)表面からの中性化に若干劣る。
(5)水和熱の点では中庸熱セメントに優るとも劣らない性状を有している。
 以上のことから、再生セメントは簡易コンクリートに十分使用し得るし、地中部のコンクリート、例えば基礎・坑など、特にマスコンクリートには有効なセメントであると云える。
 また、地上部分についてはモルタル仕上など表面処理を行うことで十分な対応ができるものである。
PDFファイル名 008-02-0216.pdf


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