種別 論文
主題 GRCセメントを用いたGRCカーテンウォールの寸法変化と仕上材の付着強度について
副題
筆頭著者 末永龍夫(鹿島建設技術研究所)
連名者1 三浦浩(鹿島建設名古屋支店)
連名者2 内田郁夫(秩父セメント関連製品本部)
連名者3 佐藤重俊(日本電気硝子硝子繊維事業部)
連名者4  
連名者5  
キーワード
9
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先頭ページ 459
末尾ページ 464
年度 1987
要旨 1.はじめに
英国から技術導入されたボルトランドセメントと耐アルカリガラス繊維を組合せたガラス繊維補強セメント(以下GRCと略記)は、高強度、高靭性の不燃材料として国内で建築物の内外装材に使用され始めてから10年以上経過している。
しかし、GRCのユーザーとして過去約10年間この材料を使用してきた経験や、この間に発表された多数のGRCの特性に関する研究報告から、GRCは耐アルカリ性ガラス繊維を使用してもボルトランドセメント硬化体の高いPH環境下では、長年月の間に徐々に劣化が進行することがわかった1)
一方、最近国内で低アルカリ性でかつ低収縮特性を有するGRCセメントが開発された。このセメントと高ジルコニア耐アルカリ性ガラス繊維を組合せたGRC(新GRCと略記)によると、従来のGRCの問題点とされた大きな収縮特性や、ガラス繊維の劣化問題をかなりの程度解決できる見通しを得た2)。本報告では、昨年発表した新GRCの力学的特性と耐久性にひき続き新GRCを用いたカーテンウォール(リブ補強方式パネル、スチールスタッドフレーム方式パネル)の寸法変化と仕上材の付着強度について報告する。

4.まとめ
新GRCカーテンウォールの寸法変化および各種仕上材の付着強度試験の結果をまとめて列記すると以下のとおりである。
a.新GRCの最さ変化は、乾燥材令180日で3×10-4と小さく、GRCの約5分の1の収縮率であることがわかった。これは、水和によって工トリンガイトを生成したためと考えられる。
b.70℃加熱-20℃浸水の乾湿サイクル内での長さ変化率は、新GRCが約8×10-4、GRCが約10×10-4で新GRCの方が、やや収縮が小さかった。また、20℃30%RH-20℃90%RHの乾湿サイクル内での長さ変化率は、新GRCが約2×10-4、GRCが約7×10-4で、GRCの約3分の1の収縮率であった。各条件の長さ変化率の相違は工トリンガイト結合水の脱離による影響と考えられる。
c.新GRCの実大パネルの長期寸法挙動については、パネルのX方向、Y方向ともに収縮率は、3±1×10-4で、良好な寸法安定性を示した。なお、表面仕上げ種類の違い、パネル方式の違いによる長さ変化率の差はほとんど見られなかった。
d.屋外暴露パズルの各仕上材(タイル、擬石、吹付タイル)の付着強度は、半年屋外暴露を行なっても、付着強度の劣化はなく安定した強度を示した。
e.2×10-4回繰り返し載荷後のタイルの付着強度は、載荷前の60〜80%保持されており、タイルパネルの亀裂発生、タイルの剥離はなかった。
以上から、新GRCのカーテンウォールの寸法安定性および仕上材の付着強度は壊れていることがわかった。
PDFファイル名 009-01-1081.pdf


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