種別 論文
主題 高強度軽量コンクリートの凍結融解特性について
副題
筆頭著者 橘大介(清水建設技術研究所)
連名者1 今井実(清水建設技術研究所)
連名者2 岡田武二(清水建設技術研究所)
連名者3  
連名者4  
連名者5  
キーワード
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先頭ページ 537
末尾ページ 542
年度 1987
要旨 1.まえがき
高強度軽量コンクリートの耐凍害性に影響を及ぼす主要因は、既に報告したように1)2)、軽量粗骨材の含水率ならびにコンクリートの水分飽和度である。含水率5%程度以下の軽量粗骨材を使用するか、プレウェッチング軽量粗骨材を使用した場合でも乾燥によりコンクリートの水分飽和度を55%程度以下に低減すれば、優れた耐凍害性が確保できることが明らかになっている。これらの研究結果は、ASTM-C666 A法(急速水中凍結融解試験方法)に準拠した方法で300回の凍結融解作用後にその耐凍害性を評価したものである。しかしながら、北極海のような苛酷な気象条件下に暴露されるコンクリートは年間に数10回もの凍結融解作用を受けるので、構造物の耐用年数期間中には試験で一般に定められる回数をはるかに上回る凍結融解作用を受けることになる。それと同時に最低温度も-50℃程度まで下降することが予測され、さらにコンクリートが海水にさらされるため劣化が促進される3)4)ことが危惧される。また、耐凍害性の評価を供試体の重量変化や相対動弾性係数といった非破壊試験方法で判定してきたが、実際のコンクリート強度や非破壊試験による諸係数と強度との関係について論じた報告が殆どないのが現状である。
本研究は、上記事項を踏まえて、極寒の海洋環境下で構造用材料として供用される高強度軽量コンクリートの長期的な凍結融解作用に対する抵抗性に関して実施したものであり、耐凍害性に影響を及ぼす要因として、軽量粗骨材の含水率、コンクリートの空気量、養生方法、さらに水結合材比、混和材およびセメントの種類についてもとりあげ、スケーリングによる重量減少量(%)ならびに耐久性指数(%)を特性値として、実験検討したものである。また、併せて耐凍害性を評価する指標の1つである相対動弾性係数とコンクリート強度との相関についても若干の検討を行なった。

4.まとめ
極寒の海洋環境下における高強度軽量コンクリートの長期的な耐凍害性をスケーリング劣化による重量減少量と耐久性指数を特性値として検討した結果、以下のことが言える。
(1)絶乾状態の軽量粗骨材と普通ポルトランドセメントを使用した高強度軽量コンクリートは、本案験で行なった最も苛酷な試験条件において優れた耐凍害性を示した。すなわち、スケーリングによる供試体の重量減少量は、海水にさらされることにより淡水中よりは若干増加するものの、その量は僅かであり、水結合材比55%のコンクリートの重量減少量と比較すれば1/8〜1/6であった。さらに耐久性指数は、試験終了時において80%以上が確保された。
(2)高強度軽量コンクリートの耐凍害性に影響を及ぼす要因は、軽量粗骨材の含水率、コンクリートの養生方法、および結合材の種類である。空気量に関しては、3±1%と6±1%の間で比較したところ、両者に有意な差は認められなかった。
(3)凍結融解作用を受けたコンクリートの強度と非破壊試験によって測定算出される相対動弾性係数との間には相関があり、強度の低下割合は相対動弾性係数の低下割合とほぼ一致する結果になった。

PDFファイル名 009-01-1096.pdf


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