種別 論文
主題 変形FLIC法によるパイプクーリング効果の高精度予測
副題
筆頭著者 伊藤洋(熊谷組原子力開発室)
連名者1 坂口雄彦(熊谷組原子力開発室)
連名者2 西山勝栄(熊谷組原子力開発室)
連名者3 森清就(熊谷組原子力開発室)
連名者4  
連名者5  
キーワード
9
2
先頭ページ 61
末尾ページ 66
年度 1987
要旨 1.はじめに
パイプクーリング工法はもともとコンクリートダムにおいて発生する熱応力を低減させるための一方策として発展してきたものであるが、最近ではコンクリート構造物の大型化・多様化に伴ってダム以外の重要なマスコンクリート構造物においても実施されるようになり、その冷却効果に関する研究もかなり進んできている。1),2)しかしながら、クーリング実施に伴うコンクリート内部の温度分布を精度よく予測することは容易でなく、その評価に当たって重要なパイプ壁面における局所熱流束が伝熱方程式の中で未知量であるなど曖昧な点も多い。
本論文では、こういった背景にあって、従来のコンクリートとパイプ内水の2つの伝熱方程式からパイプ壁面熱流束項を消去し一つの支配方程式にすることにより、伝熱場を理論的に評価し得ることを可能にした上で、その解法に変形FLIC法を適用させてパイプクーリング周辺の伝熱解析を行う手法を提示する。さらに、その検証に当たってはできるだけ正確なデータを得る必要かあるため、実規模の大型供試体(幅、高さ1m、長さ10m)を用いた実験を実施し、その結果と本解折結果を比較検討する。その結果、本手法によりクーリング効果の高精度予測が十分可能であることが示唆されたのでここに報告する。

4.まとめ
パイプクーリング工法は、古くからコンクリート温度低減の有力な手法の一つとして用いられておりその評価手法についての研究もかなり進んできている。しかし、解析上の困難さもあってクーリング効果評価のキーポイントとなるコンクリートとパイプ内水との熱交換流束が理論上未知量であるなど、事前予測に当たって問題を残している。本論では、このような未知量である熱交換流束項を用いずクーリング効果を理論・解析的に評価し得る手法を検討した。その結果、伝熱場は伝導、対流項を含む一つの移流伝熱方程式で十分説明し得ることが確認され、その解析に当たって変形FLIC法を用いることにより解析可能となることかわかった。一方、それの検証のためにパイプクーリング周辺の正確な温度データを得ることを目的に実施した大型供試体を用いた実験において、計算値はその結果をよく再現し、本手法の妥当牲が実証された。本手法は、現状では複雑な3次元伝熱場にそのまま適用することは解析上難しいと思われるが、クーリング効果の基本予測、コンクリートとパイプ内水の熱伝達率の理論的決定、或いは初期のクーリング効果の非定常性検討など従来技術と併せ応用することによりこの種の予測・評価精度を向上させ得るものと考える。
PDFファイル名 009-01-2011.pdf


検索結果へ戻る】 【検索画面へ戻る