種別 論文
主題 鉄筋コンクリート構造物の大歪を対象とするボンド応力とその耐爆耐衝撃性に与える影響
副題
筆頭著者 竹田仁一(熊本工業大学)
連名者1 高木秀幸(熊本工業大学)
連名者2 谷川達彦(熊本工業大学)
連名者3  
連名者4  
連名者5  
キーワード
9
2
先頭ページ 417
末尾ページ 422
年度 1987
要旨 1.はじめに
昨年4月26日ソ連ウクライナ、キエフ近くのチェルノブイリ原子力発電所施設の爆発事故はウクライナ地方だけでなく、世界中に種々の影響を与えた極めて不幸な事故であった。しかし、ただ一つ、この事故を契機として、このような重要施設の安全性は、最終的には施設の耐爆、耐衝撃性に求めなければならないという認識を共通のものにしたという理由で記憶に残る事故となった。欧米における工業先進国では、既に1970年代のはじめからこのような事故を防止するため、耐爆、耐衝撃設計の研究に着手し、数次にわたる国際会議も開かれている。わが国におけるこの種の研究はかなり遅れがみられたが、最近次第に研究者の数も増えている。
ところで、鉄筋コンクリート構造物の耐爆、耐衝撃設計は、その対象から必然的に次の二つの特徴をもつことになると考えられる。その一つは、爆発、衝撃現象が高速に進行し、それによって構造物に応答が生まれることから起こる現象(例えば速度効果等)に対応しなければならないこと、もう一つは、この応答が通常、静的な場合よりかなり大きくなるので設計は大歪を許容した塑性設計にならざるを得ないことである。
第二の特徴から、この設計においては、鉄筋コンクリート構造部材または構造物の、許容し得る最大変形(最大塑性率)の測定が極めて重要であることがわかる。なぜならば、筆者等が多年にわたって行った実験によると、爆発の場合は、薬量の多い程、衝撃の場合は、衝撃速度の大きい程、鉄筋コンクリート部材の最大変形が小さくなることが認められたからである。このことは、鉄筋コンクリート構造物の破壊限界に対する速度効果が最も望ましくない形で現れることを意味し、耐爆、耐衝撃設計にとって極めて重要である。
従って、今回最大変形の測定に重点を置いた実験を行ったが、やはり同様の傾向が認められた。現在、このような結果が生ずる理由について研究しているが、その概要をここに報告する。

6.結論
(1)鉄筋コンクリート円筒体爆発実験では、試験体の応力方向に直角に間隔をおいて入ったクラックが応力の増加とともに数を増し、それと同時にクラック位置近傍の鉄筋歪も増加する。最終段階で鉄筋歪の大きくないいくつかの位置で破断する。
(2)破断した鉄筋の残留歪は局部的には20%以上に達するが、全長について測った平均歪は8.3%以下であり、爆発をうける鉄筋コンクリート横造物の最大変形量が著しく低下することがこの実験から確認された。
(3)異形鉄筋に対する大歪を対象とするボンド応力発生機溝を仮定し、それによってボンド応力分布を計算したが、その結果は以前行ったボンド応力高速実験の結果とよく一致した。
(4)前項の計算においても高速載荷のもとではボンド応力が鉄筋長さの狭い範囲で急増することが認められたが、このことが爆発実験で見られた鉄筋コンクリート構造物の最大変形量の減少のひとつの理由であると考えられる。
PDFファイル名 009-01-2072.pdf


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