種別 論文
主題 立体トラス型ジベルを有する鋼板-コンクリートはりの構造特性
副題
筆頭著者 太田俊昭(九州大学工学部)
連名者1 日野伸一(九州大学工学部)
連名者2 興石正巳(清水建設技術部)
連名者3 北之園宏(建設省九地建)
連名者4  
連名者5  
キーワード
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先頭ページ 525
末尾ページ 530
年度 1987
要旨 1.まえがき
型枠兼用の鋼板上にコンクリートを打設し、一体化した鋼・コンクリート合成床版は、すぐれた力学特性をもち、工期短縮、省力化施工を可能とする経済的、合理的な構造形式として着目されている。立体トラス型ジベルを有する合成版もその一つであり、特に立体トラスが、架設系においては型枠、支保工が不要となるような高い剛性をもつ主構造部材として働き、またコンクリート打設後においては、ずれ止め機能と共にコンクリートのせん断補強機能をも有する合理的な構造といえる[1][2]。
本研究は、このような立体トラス型ジベルを有する鋼・コンクリート合成版構造の基本的力学特性を把握し、設計上必要となる基礎資料を得ることを目的として行ったものである。まず、ジベルの傾斜角を変化させた立体トラス型ジベルおよび比較用のスタッドについて、二面押抜きせん断試験を行い、ずれ止めとしてのせん断性状について検討した。続いて、このトラス型ジベルを有する合成はり(以下、TSC合成はりと称する)およびそれと同等諸元をもつRCはりに対して、静的曲げ破壊試験を実施し、両者の曲げ性状の比較、ジベルのせん断力負担などについても検討した。

4.まとめ
本研究によって得られた結果を要約すれば、次ぎのとおりである。
1)立体トラス型ジベルのずれ剛性は、スタッドに比べてかなり大きく、限界せん断耐力に対するずれ常数はスタッドが約90t/mmに対して、トラス型ジベルが約140〜215t/mmの値を示した。
2)トラス型ジベルの限界、終局耐力は、それぞれスタッドの1.6〜1.9倍、1.2〜1.5倍の高い値を示した。
3)式(2)による設計せん断力の評価式は、傾斜角が45°、60°の場合には限界に対して4〜5、破壊に対して7〜11、の安全率を保証し、妥当なものといえる。しかし、傾斜角が大きく直立に近いジベルに対しては、スタッドの設計せん断力式(2)を適用する方が適切な結果を与えることが明らかにされた。
4)押し抜き試験および従来の設計法に基づき、ずれ止めかつ斜引張補強材としてトラス型ジベルを配置したTSC合成はりは、RCはりと同等以上の曲げ耐力を有し、かつ底部鋼板が降伏した後もトラス型ジベルによって鋼板とコンクリートの一体性が保持されるために、RCはりに比べて高い靭性を有することが確認された。このことは、トラス型ジベルに対する設計方針の妥当性を示唆するものといえる。しかし、それらの設計式の定式化については、さらに検討の必要があり、トラス型ジベルの溶接部をはじめとする疲労安全性の検討と合わせて今後の課題である。
PDFファイル名 009-01-2090.pdf


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