種別 論文
主題 高炉スラグを主体にしたクリンカーレス粗粒子セメントコンクリートについて
副題
筆頭著者 武田穰(新日本製鉄)
連名者1 山崎雅弘(新日本製鉄)
連名者2 今野美千雄(新日本製鉄)
連名者3  
連名者4  
連名者5  
キーワード
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先頭ページ 133
末尾ページ 136
年度 1979
要旨 1.まえがき
 鉄鋼業に於いて銑鉄を製造する際に同時に生成される高炉スラグは、その冷却方法により種々の特長を持ったスラグの製造が可能である。一般的には冷却方法により徐冷スラグ、急冷スラグ、(水砕スラグ)に大別され主な用途として、徐冷スラグは道路路盤材、コンクリート骨材に又、水砕スラグは高炉セメント原料に利用される。これら高炉スラグの特長はスラグが水と接触するか又はアルカリ刺激を受ける事により、スラグ中のCaO、SiO2、Al2O3を溶出し凝固硬化する性質を有する。(この性質を潜在水硬性という)水砕スラグの場合溶融状態のスラグを水で急冷するため結晶化する時間的余裕がなく非晶質(ガラス質)となっており結晶化エネルギーを内包しているため水硬性が大きく又、徐冷スラグはほとんどが結晶質であるが一部非晶質を含んでいるため水硬性を有する。この性質を最大限に利用したものが水砕スラグでは高炉セメントであり、徐冷スラグでは水硬性粒度調整スラグ砕石路盤材である。以上の様に高炉スラグの特長は大小の差はあるが潜在水硬性を有していることであり、スラグを主体に潜在水硬性エネルギーを最大限に発揮させた、簡便且つ経済的で実用性の高い、一般セメントコンクリートに匹敵するクリンカーレス粗粒子セメントによる硬化体の製造が可能であり現在開発試験中である。この硬化体は一般セメントコンクリートと化学成分が鉱物組織、水和反応後の構成化合物は全く違うものであり、カルシウムサルホアルミネート(エトリンガイト)及びカルシウムシリケート系の結晶による硬化体である。硬化体は、水砕スラグ、徐冷スラグ、消石灰、二水セッコウからなり、強度発現は、水砕スラグと徐冷スラグを最密充填粒度とし、さらに水砕スラグの潜在水硬性を促進するため、アルカリ刺激剤として消石灰を又、硬化促進材として二水セッコウを適量添加することによりスラグから溶出したCaO、SiO2、Al2O3とセッコウとの水和反応で若干のCSH系水和物を含むCASH系水和物が主体であり、これらの空隙にSiO2、Al2O3が主体となった超極微細なゲルが生成され、エトリンガイトでゲル沈殿物を橋絡し、エトリンガイトによる膨張を起こすことのない超緻密な硬化体となる。開発試験は、一般コンクリートでのセメントの役割をする部分に、当硬化体では、従来のセメント粒子に比して粗粒子(ブレーン値1000cm2/g程度)の水砕スラグ、消石灰、二水セッコウ、を組合せたクリンカーレス粗粒子セメント(以下C.L.Cementと略称する)開発試験と、これに粗骨材として徐冷スラグを混合したコンクリートの試験からなる。これらの試験内容及び結果について報告する。
6.あとがき
 C.L.Cement Concreteは、一般セメントコンクリートと化学成分及び鉱物組成に違いがあり硬化体の水和反応による構成化合物は一般セメントとは違うものである。硬化体の微細構造(ゲル及び結晶)、力学特性、水密性、熱的性質、耐久性等の詳細について現在試験調査中である。又、今までの技術を生かし利用実績として、簡易コンクリート約300m3、舗装コンクリート約10000m2、魚礁消波構造物、二次製品等への利用を実施している。
PDFファイル名 001-01-0034.pdf


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