種別 論文
主題 鉄筋コンクリート連層耐震壁の破壊機構に関する実験的研究
副題
筆頭著者 狩野芳一(明治大学)
連名者1 高木仁之(明治大学)
連名者2  
連名者3  
連名者4  
連名者5  
キーワード
1
0
先頭ページ 301
末尾ページ 304
年度 1979
要旨 1.はじめに
 中低層鉄筋コンクリート建築物の耐震要素として耐震壁が有益であることは、過去の震害記録より明白であるが、耐震壁の破壊機構については未知な点が多く、合理的な設計法が得られていない。従来行なわれている耐震壁の実験は、対角線加力方式によるものが多かった。この方法は、剛強なフレームに囲まれた壁板のせん断耐力を知るには優れた方法である。しかし、通常建物に用いられる連層耐震壁の破壊は、はりや柱と同じく、いわゆる曲げせん断によるものであり、この種の耐力を知るにはこの方法は不適当である。曲げせん断による実験も多く行なわれてきたが、層数、くり返し回数、フレームと壁板の寸法比等に関して、地震力をうける建物の耐震壁に近いものが少なかった。このような背景から、筆者らは数年前より実在耐震壁を比較的忠実に縮小したモデルによる実験を行なってきたが、本報は今迄の結果に関する総合的考察である。
6.むすび
 (1)薄肉耐震壁のせん断破壊‐i)壁厚が柱幅の1/4以下の場合、せん断破壊はすべて1層壁板のななめ圧縮力による広範囲の圧潰によって生じた。ii)壁板圧潰後、耐力は大幅に低下したがフレーム部分は健全で更に大変形に耐えた。iii)この種の破壊に対して壁筋量は、強度、靭性の何れに対しても効果がなく、ななめひび割れの分散およびひび割れ幅の減少に対してのみ有効であった。
 (2)厚肉耐震壁のせん断破壊‐幅のある対角線ななめきれつが生じた。この破壊に対しては、壁筋が有益であると思われる。
 (3)曲げ降伏後に生じる終局的破壊‐i)曲げ降伏後、耐震壁は靭性に富む変形性状を示すが、靭性を失う直接の原因となるのは1層壁脚偶角部の圧潰である。ii)1層壁脚偶角部の圧潰とともに、圧縮側柱脚のせん断破壊がひきおこされる。iii)柱脚の破壊程度には柱の軸方向筋量が影響するように思われる。iv)柱帯筋量が極端に少ないとき、大変形に当って柱軸力を保持することが困難になる。適切な帯筋量を見出すことは今後の課題である。
PDFファイル名 001-01-0076.pdf


検索結果へ戻る】 【検索画面へ戻る