種別 論文
主題 RC構造物の安全度に関する研究
副題
筆頭著者 尾坂芳夫(東北大学)
連名者1 鈴木基行(東北大学)
連名者2 原隆一(東北大学)
連名者3  
連名者4  
連名者5  
キーワード
1
0
先頭ページ 345
末尾ページ 348
年度 1979
要旨 ‐まえがき‐
 従来、用いられて来た弾性理論に基づく許容応力度設計法では、安全率を用いることで安全性が保障されて来た。しかしその安全率も理論的な根拠に乏しい経験的な量であるし、同様に、公称荷重などもあいまいな量である。
 そこで、近来重要視されて来たのが、荷重・耐力などをすべて確率量であると考えて安全性を検証する方法である。この方法では、公称荷重、公称強度、その他の係数など設計上必要な量に確率論的な背景を与え、なおかつ最終的には、これらに変わって破壊確率を与えることで安全性の検証を行なうことを目的としている。
 破壊確率はP(R≦S)(ここでRは耐力、Sは荷重)で与えられるものであるが、この場合、破壊確率を計算するに際して、RとSを同次元の量に変換しておくことが必要である。一般に耐力は終局モーメントなどの荷重作用で表され、荷重は10tonといった荷重の量で表されている。そこでこの論文では、荷重から荷重作用への変換を念頭におき、RC構造物(ここではラーメン)の非線形解析を行ない、後に多少の考察を行っている。非線形解析は、それ自体非常に困難を有するものであるので、ある種の簡単化がよぎなくされており、その確かさの検証は不可能であるのが現状である。したがってより一般的な仮説に基づく方法を確立することは、重要な構造物をより正確に設計するのに必要なだけでなく、実際の設計に上記の簡単な方法を用いることの妥当性を検証するのに有効である。
 非線形解析においては、多大を計算量を必要とするので、電子計算機を利用して計算を行っている。この論文では、地震荷重を受ける平面ラーメンの解析が行われており、高々数mの高さのラーメンであること、できる限り荷重分割を多く取るなどの仮定のもとに、荷重増分法による解析を行っている。また構造物の変形が回転だけによるものであると考えて、以下の解析は各軸力に関する曲げモーメント‐曲率図(以後M‐φ図と呼ぶ)を基礎として行なわれている。
‐結果の考察‐
 以上の結果より、荷重の荷重作用への変換は、ひび割れ以後上下に変動するが、それは一貫して弾性計算による変換直線を中心として変動している。従って、その破壊確率は、実際に計算して比較してみる必要があるが、弾性計算による直線で十分近似されるのではないかと予想される。
 また、ここでは取扱わなかったが、ある一つの変換曲線により荷重を荷重作用へと変換し、それにより求めた破壊確率はその要素の破壊確率であり、構造物の破壊確率ではない。(ただし静定構造物は要素の上で、それをどのようにして構造物の破壊確率に結びつけるか、すなわち各要素の相関関係破壊確率は、すなわち構造物の破壊確率である。)したがってすべての要素の破壊確率を求めた上で、それをどのようにして構造物の破壊確率に結びつけるか、すなわち各要素の相関関係を明確にし、それをいかにして確率論的に扱うかという問題がある。
 加えて、ラーメンには軸力が常に働くので、軸力の変化により耐力(曲げモーメントで表わしたもの)の分布がいかに変動するかを研究する必要がある。
PDFファイル名 001-01-0087.pdf


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