要旨 |
はじめに 石炭火力発電所の産業副産物であるフライアッシュは、主にマスコンクリート工事における水和熱低減の目的で使用されているが、近年、石炭の海外炭使用や燃焼条件等の問題から、フライアッシュの品質低下が指摘されている。一方、コンクリートは従来、耐久性に優れているものとして評価されてきたが、良質な骨材の枯渇に伴う単位水量の増加あるいはアルカリ骨材反応等、種々の問題点か提起されてきている。本研究は、このような背景を踏まえフライアッシュの有効利用を図ると共に、骨材の品質低下に伴う問題点に対処することに主眼を置き、フライアッシュを気流分級して得た最大粒径5μm以下の微粒分に減水成分をプレミックスさせた高性能混和材(以下分級フライアッシュと呼ぶ)を用いてコンクリートの品質向上を検討したものである。結論 通常のフライアッシュを気流分級して得た最大粒径5μm以下の微粒分に減水成分をプレミックスさせた高性能混和材(分級フライアッシュ)を用いたコンクリートの品質向上について検討した結果、次のような結論を得た。(1)大幅な単位水量の低減効果か得られた。(2)強度発現性状は、代替しない通常のコンクリートに対し初期材令でフライアッシュを代替した場合に認められる初期強度の低下が改善され、材令28日以降の長期材令では大幅に上回ることが認められた。(3)水和熱の低減効果が認められた。(4)アルカリ骨材反応に対して非常に高い抑制効果が認められた。 |