種別 | 論文 |
主題 | 高炉スラグ微粉末を大量添加した特殊水中コンクリートの特性 |
副題 | |
筆頭著者 | 田沢 雄二郎(鹿島建設技術研究所) |
連名者1 | 大友 忠典(鹿島建設技術研究所) |
連名者2 | 平 和男(鹿島建設技術研究所) |
連名者3 | |
連名者4 | |
連名者5 | |
キーワード | |
巻 | 10 |
号 | 2 |
先頭ページ | 19 |
末尾ページ | 24 |
年度 | 1988 |
要旨 | はじめに 近年、大規模な海洋構造物の施工において特殊水中コンクリートの使用が検討されており、このような構造物ではマスコンクリートとしての問題点が指摘されてきている。一方、特殊水中コンクリートの場合、所要の流動性を得るために単位水量を増加させる必要があり、その結果単位結合材料も気中のコンクリートと比較して多くなるのが実情である。従って、通常の気中コンクリート以上に温度ひびわれの発生が懸念される。温度ひびわれを抑制するために種々の方法が採用されているが、材料面からの方策として、低発熱型セメントの利用、高炉スラグ微粉末(以下、スラグと呼ぶ)やフライアッシュ等混和材の大量添加、水和熱抑制剤の利用等が考えられ、これらについては過去多くの研究がなされている。しかし、これらの研究は気中のコンクリートを対象としており、特殊水中コンクリートについての研究はほとんど行われていないのが現状である。本研究は、低発熱型水中コンクリートの開発を目的として、スラグを大量に添加した場合にスラグ置換率及びスラグ粉末度が特殊水中コンクリートの凝結、温度及び強度特性に及ぼす影響を検討するとともに、低発熱型水中コンクリートにおける材料の適切な組合せについて比較検討したものである。 まとめ 低発熱型の水中コンクリートの開発を目的として、スラグを大量添加した特殊水中コンクリートの特性を検討した結果、次のようなことが明らかになった。1) スランプフローは通常5分経過後に測定するが、その後もスランプフローの増加を測定すると、スラグを添加しない場合は5分程度でほぼ収束するのに対して、添加した場合は徐々に増加し、5分経過後も伸びる傾向を示す。また、凝結は特殊混和剤及びスラグの添加の影響によって遅れる。2) 断熱温度上昇はスラグ置換率80%以下では0%の場合より大きくなるが、80%を越えると急激に低減する。また、スラグ粉末度3000cm2/g級で断熱温度上昇は最大となり、それ以上にスラグ粉末度が増加すると逆に低減する。断熱温度上昇速度は、スラグ置換率の増加及びスラグ粉末度の低下に伴い遅くなる。3) 材令7日の圧縮強度はスラグ置換率の増加に伴い低下するが、材令91日では置換率90%までは0%の場合を上回り、置換率95%の場合でも0%の場合の80%程度になる。このように、置換率が著しく高いコンクリートでも大きい圧縮強度を示す理由として、特殊混和剤の添加がスラグの水和反応を促進させる効果を有していること等が考えられる。また、スラグ粉末度の増加に伴い圧縮強度は増加するが、ある粉末度以上になると逆に減少し、その値は今回の実験の範囲内では4000〜5000cm2/gである。4) 低発熱型特殊水中コンクリートとして最適な条件は、今回検討した範囲内では、スラグ置換率90%、スラグ粉末度4000cm2/g程度であると考えられる。現在、高炉セメントのスラグ添加率はC種でも70%以下と規定されているため、スラグを70%以上添加した施工実績は我が国ではほとんどないが、ヨーロッパでは70%以上添加したスラグセメントの規格もあり、気中では70〜90%添加した実績もある。今後、このような高炉スラグ微粉末を大量添加した特殊水中コンクリートの実用化に際しては、スラグの種類、品質管理の方法等の検討すべき点が残されており、実工事への適用に際しては、使用するスラグの品質を予め十分に検討しておくことが必要であると考えられる。 |
PDFファイル名 | 010-01-1004.pdf |