種別 | 論文 |
主題 | コンクリートの諸性質に及ぼす圧密の影響 |
副題 | |
筆頭著者 | 渡澤 正典(日本大学) |
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キーワード | |
巻 | 10 |
号 | 2 |
先頭ページ | 91 |
末尾ページ | 96 |
年度 | 1988 |
要旨 | はじめに 現在、鉄筋コンクリート構造物は、コンクリート断面が一様な性質を持つという仮定のもとに建設されている。しかし、コンクリートは、打込み後の気象条件、型枠脱型後の水分散逸、自重差などで、一部材内でも部分的にその性質は異なると考えられる。一方、鉄筋コンクリート造による30階建ての高層建築物がわが国でも建設されるようになり、これまでにない高度な品質と打設コンクリートのよりくわしい諸性質を知る必要が生じている。そこで、筆者は、模型の柱状コンクリート試験体について、圧密力の測定、切取りコア供試体圧縮試験、細孔分布の測定および中性化促進試験を行ない、圧密力が他の諸性質に及ぼす影響について検討を行った。圧密力の分布、コア切取りの方向、位置および部位の相違による強度分布の報告は、既往の文献にもみられる。しかし、圧密力および細孔分布、実大の構造物に比較的近い模型の柱状コンクリート試験体の、強度分布および中性化進行深さを検討した報告は少ない。また、切取りコア供試体と母体となる試験体との強度比較の報告例も少ない。ここでは、主に、その両者についての検討結果を報告するものである。 まとめ (1)圧密力は、中央部、周辺部のいずれも下層になるほど増大する。また、中央部の圧密力は、周辺部のそれを平均21%上回る。(2)切取りコアの総細孔容積比は、中央部、周辺部のいずれも下層になるほど減少する。また、中央部の総細孔容積比は、周辺部のそれより小さい。(3)切取りコアの細孔分布は、いずれの部位においても、中央部が周辺部よりも細孔半径の小さい方への片寄りが多い。特に細孔半径5000Å以下の細孔にそれが見られる。また、切取り位置が同じ場合、下段の細孔分布は上段のそれより、小さい方への片寄りが多い。(4)切取りコアの圧縮強度は、切取り方向・平行において、中央部、周辺部のいずれも下になるほど高くなる。また、切取り方向・直角においても、平行の場合と同じである。この傾向は、圧密力および総細孔量の示す傾向に対応する。試験体上面からの深さが変わる場合の圧密力および圧縮強度の増加量は、深さが1cm下がるごとに中央部では圧密力が約0.0030kgf/2、圧縮強度は約0.33kgf/cm2、周辺部では同様に0.0022kgf/cm2および0.37kgf/cm2である。切取り方向・平行のコア供試体強度は、一部を除き直角のそれをすべて上回る。(5)上層の中性化進行深さは、中層および下層のそれを上回る。中層および下層の中性化進行深さはほぼ同様である。(6)柱状試験体の圧縮強度は、247kgf/cm2で、切取り方向・平行および直角の周辺部・上段の切取りコア供試体強度とほぼ同じ値である。 |
PDFファイル名 | 010-01-1017.pdf |