種別 論文
主題 大型試験体によるマスコンクリートの温度応力実験
副題
筆頭著者 石川 雅美(東急建設)
連名者1 前田 強司(東急建設)
連名者2 西岡  哲(東急建設)
連名者3 田辺 忠顕(名古屋大学)
連名者4  
連名者5  
キーワード
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先頭ページ 169
末尾ページ 174
年度 1988
要旨 はじめに
マスコンクリートの温度応力問題において、外部拘束の作用は、コンクリート内に発生する温度応力を規定する上で最も支配的な要因の一つである。温度応力に対する外部拘束の影響の度合いは、主に2つのパラメータ:1)打継面(あるいはコンクリートの拘束面)での付着性状、2)打設されたコンクリートのL/H(長さ/高さ)によって評価できると考えられる。著者らは、まず、打継面の付着性状に着目して、この付着性状の違いが、温度応力に対してどのように影響するかを明らかにする目的で、実構造物大の大型マスコンクリート試験体を用いて、温度応力実験を行った。実験に用いたマスコンクリート試験体は、図1に示すように、拘束体(高さ1.0m、幅0.95m、長さ、15.0m)と被拘束体(高さ1.0m、幅0.3m、長さ、15.0m)とから成り、この両者の間の打継面の付着性状別に3体の実験を行った。実験は、拘束体の上面に壁状の被拘束体を打継ぎ、この拘束体を打設した直後から材令28日までの試験体全体の温度、応力、ひずみ、そして変位を詳細に計測した。この実験の最も特徴的なところは、以下の3点である。1)試験体全体の拘束に関する境界を明確にしておくため、拘束体下面と、その下の土間コンクリートとの間に特殊なすべり機構(まさつ係数≒0.1)を設けた。2)応力、ひずみ、変位をそれぞれ独立に、そして同一の箇所で測定した。特に変位については、1/2000mmの分解能を持つ高感度型変位計を多数使用して、温度上昇から降下に至るまでの試験体全体の変形を測定した。3)実験はプレハブの室内で行い、外気温などの環境条件の変動を小さく押さえ、計測されたデータの信頼性を高めた。本報は、このような特徴を持った実験の結果について報告したものである。その結果、打継面がどのような付着性状であっても、拘束体と被拘束体の間に相対変形が生じること、また被拘束体の熱変形により端部がそり上がることなどの現象をはじめて実験的に確認した。
まとめ
実構造物大の大型試験体を用いてマスコンクリートの温度応力実験を行った結果、これまで明らかにされていなかった、打継面での剥離や相対変位といった現象を実験的に確認した。実験を行った3つのモデルの変形パターンから、マスコンクリートの変形パターンは大きく分けて2つに分類されると考えられた。すなわち、1)外部拘束が小さく内部拘束が卓越する場合には温度上昇時においては端部がそり上がった、下に凸のかたちになり、温度降下時にはこの傾向は弱められるようである。2)外部拘束が大きく卓越する場合には、温度上昇時には上に凸、降下時には逆に下に凸の形になる。この2つの変形パターンは著者らが分類したA型とB型の応力パターン[2]とまさしく対応するものである。そして外部拘束作用の大きさの度合いにより、応力と同様にこれら2つの変形パターンの中間的なものも存在するようである。また、変形の計測結果では被拘束体は全体的に上に凸になったり下に凸になったりしているが、打継面の挙動を観察するとこのような変形と同時に局所的にも複雑な動きをしているようである。本報では、打継面の性状の違いをパラメータとした温度応力実験について、その実験結果を報告した。この実験に関する解析的な検討は著者らの文献[3]で行っているのでそちらを参考にされたい。なお、次報では被拘束体のL/Hをパラメータにした実験について報告する予定である。
PDFファイル名 010-01-1030.pdf


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