種別 論文
主題 高温下のコンクリートの水分逸散過程と乾燥収縮
副題
筆頭著者 三橋博三(東北大学)
連名者1 沼尾達弥(茨城大学)
連名者2  
連名者3  
連名者4  
連名者5  
キーワード
10
2
先頭ページ 237
末尾ページ 242
年度 1988
要旨 はじめに
近年、原子力発電施設のプレストレストコンクリート圧力容器の開発や、鉄筋コンクリート構造物の火災時の挙動を調べる為に、高温下のコンクリートの性質について数多くの研究がなされている。特に、高温下でのクリープ挙動に関する研究は、原子力発電施設の建設が具体的な課題となってきた1960年代後半から数多くの実験結果が報告されている。しかし、それらの結果は、実験の種類・条件・方法等によって大きく異なる為にバラツキが大きく、しかも実験よっては正反対の結果すら出ている。コンクリートが加熱される場合、100℃以上の高温下では勿論の事、100℃以下であっても、コンクリート中の含有水分が弾性係数やクリープ挙動及び乾燥収縮等の力学的特性に大きく影響を及ぼし、このことが既往の実験結果のバラツキの主要な原因の一つと考えられる。それ故、高温下でのコンクリート中の含有水分の移動を適切に捉えることは重要な課題となっている。特に乾燥収縮は、コンクリート中に含まれる水分が時間の経過と共に空中に散逸することにより引き起こされる為、コンクリート中の含有水分の移動と密接に関係している。そのため、高温下でのコンクリートの挙動を解析する上で、水分逸散過程を把握しながら乾燥収縮変形を評価していくことが重要である。本論文では、有限要素法を用いた非線形拡散方程式を解くことにより、コンクリートが100℃以上に加熱される場合も含め水分逸散過程をシミュレートし、既往の実験結果の二例を解析すると共に、その乾燥収縮変形の評価について報告する。
結論
コンクリート中の含有水分の逸散過程は、温度及び細孔湿度の影響を強く受け著しく非線形な現象である。それに対して、有限要素法を用い非線形拡散方程式を解く事により、常温から100℃を越える範囲にわたって水分逸散過程を解析する事が可能である事を示した。特に、供試体表面に一定の厚さdを持つ仮想面を考えることにより、解析結果は乾燥初期も含めて実験結果とよい一致を示した。このことは、供試体表面に於ける水分発散の条件を何等かの形で考慮する必要があることを示している。今後、合理的な境界条件の表現の検討が必要である。また、材料定数として用いたパラメータの値は、実験結果の対応から求められたものであり、これらの値とコンクリートの特性との関係についても、最適パラメータ値の推定方法の導入等により定量的に検討する必要がある。更に、高温下での収縮変形に対する、湿度分布によって生じる内部応力及びコンクリート表面でのひび割れ等の影響についても定性的に考察を行った。今後は更に検討を重ね、水分の散逸において収縮を生じさせる機構等を考慮して、より定量的な評価を行うことが重要である。
PDFファイル名 010-01-1042.pdf


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