種別 | 論文 |
主題 | 火害を受けたコンクリート中を伝播する超音波の減衰特性に関する研究 |
副題 | |
筆頭著者 | 山田 和夫(愛知工業大学) |
連名者1 | 小阪 義夫(名古屋大学) |
連名者2 | |
連名者3 | |
連名者4 | |
連名者5 | |
キーワード | |
巻 | 10 |
号 | 2 |
先頭ページ | 361 |
末尾ページ | 366 |
年度 | 1988 |
要旨 | まえがき 材料内部の欠陥を超音波を用いて非破壊時に探査する方法としては、既に各種の方法が提案されているが、コンクリートの場合には超音波の滅衰が著しいこともあって、その応用は金属など他材料の分野に比べて立ち遅れていた。しかし、最近の電子計測技術の発達に伴って微弱な信号も高感度に検出できるようになったため、コンクリートの分野においても超音波のより高度な利用方法が検討されつつある。筆者らもコンクリート内部で発生するアコースティック・エミッションの原波形解析手法の確立を目的として、コンクリートの劣化度と周波数応答特性との関係に関する一連の調査研究を行なってきた。本研究はその延長上にある。材料を伝播した超音波の波形には伝播経路に関する各種の情報が包含されているため、検出波形を詳細に解析することによって材料の内部構造の詳細を評価できるのではないかと考えられる。しかしながら、今のところコンクリートの内部損傷度の評価につながる系統的な研究は、殆どみあたらない。そのため、本研究では、コンクリート中を伝播し検出された超音波パルスエコーの周波数成分の減衰特性を計測してコンクリートの損傷度を推定しようとする、いわゆる超音波スペクトロスコピーによるコンクリートの劣化度診断法の可能性を確かめるための基礎的研究の一つとして、火害を受けたモルタルの劣化度評価に関する一連の検討を行った。 結論 本研究では、超音波スペクトロスコピーを適用したコンクリートの劣化度診断方法の確立を目的とした研究の第一歩として、まず、火害を受けたモルタルを取り上げて一連の基礎的検討を行った。本研究によって得られた結果は、およそ次のようになる。1)火害を受けたモルタルの曲げ強度および圧縮強度は、加熱温度の上昇および水セメント比の増大に伴って低下するが、加熱持続時間には殆ど影響を受けない。また、加熱によるモルタル強度の低下率は、圧縮強度よりも曲げ強度の方が著しい。2)火害を受けたモルタル中を伝播し検出された超音波の伝播速度、最大振幅およびエネルギーは、水セメント比にかかわらず加熱温度の上昇とともに減少するが、検出波形のエネルギー・モーメントおよびエネルギー分散は、逆に増大する傾向を示す。ただし、検出波形の初動振幅は、殆ど加熱温度の影響を受けない。3)火害を受けたモルタルの周波数伝達関数の振幅およびエネルギーは、加熱温度の上昇ともに減少する。ただし、その減少の割合は、水セメント比および加熱持続時間にはそれほど影響されない。4)火害を受けたモルタルの周波数伝達関数において、50〜100 kHzと200〜250kHzの各周波数帯域の局所最大振幅およびエネルギーは、いずれも加熱によって生じるモルタルの内部構造の変化と密接な関係がある。したがって、これらの特性パラメータを用いれば、超音波スペクトロスコピー法を用いてコンクリートの劣化度をかなりの精度で推定できる可能性がある。 |
PDFファイル名 | 010-01-1064.pdf |