種別 論文
主題 内外に温度差を受ける円筒のひびわれ実験
副題
筆頭著者 秋田 宏(東北エ業大学)
連名者1 山信田正美(ピーエスコンクリート)
連名者2 尾坂 芳夫(東北大学)
連名者3  
連名者4  
連名者5  
キーワード
10
2
先頭ページ 391
末尾ページ 396
年度 1988
要旨 はじめに
PCタンクのような円筒形構造物が、内外に温度差を受ける場合の温度応力は、境界条件が明瞭であるため弾性理論により容易に求められる。しかし、弾性理論で求めた引っ張り応力が、コンクリートの引っ張り強度に達すると、ひび割れが発生するのかどうかは、必ずしも明らかではない。たとえば、温度応力はクリープにより1/2に減少するとの考え方もあり、80%の減少が認められたとの実験報告もある。また、円筒の内外に温度差を与えた実験でも、31℃程度の温度差でひび割れが開始されたとの報告もあれば、47℃で最初のひび割れが認められたとの報告もある。本稿は、温度応力によるひび割れの特性を、実験的ならびに解析的に調べたものの報告である。実験は、小型のコンクリート製円筒供試体の、内外温度差を徐々に増やしながらひび割れを発生させ、AEの発生数やひずみの計測を行った。それらの測定結果及び実験後のひび割れ観察結果を基に、さらに有限要素法によりひび割れ時の応力分布を計算し、ひび割れの特性について検討した。
まとめ
内外に温度差を受けるコンクリート製円筒のひび割れ特性を調べるために、AE発生数、ひずみ等の測定を行い、有限要素法による計算結果と照らし合わせて検討した結果、ある程度ひび割れ進展のメカニズムを明らかにすることができた。本研究の範囲で結論づけられる点は以下のようである。(1)内外温度差を受けるコンクリート製円筒のAE発生数は、温度差を次第に大きくしてゆくと、ほぼ階段状に増加する。(2)弾性理論による簡易計算で得られた、ひび割れ開始温度差よりも低い温度差で、すでにかなりのAEの発生が認められる。(3)上記のひび割れ開始温度差と、AE発生数が急激に増える温度差とには、6体中2体に対応が見られた。(4)普通コンクリートでは、温度上昇速度に無関係に30℃前後でAE発生数が急激に増えており、青柳らの実験によるひび割れ開始温度差31℃と良く一致した。(5)内外温度差によりコンクリート製円筒に生じたひび割れは、温度差が取り除かれればほぼ完全に閉じ、ひび割れの検出が困難となる。ただし、乾燥をともなった場合はこの限りではない。(6)内外に温度差を受ける円筒は、断面の約半分が圧縮領域でありながら、本実験の寸法では、内外温度差60℃程度で貫通していると思われるひび割れが生じた。(7)本実験に用いた円筒では、6体中4体に軸対称な位置に1対のひび割れが発生しており、そのメカニズムはひび割れを有する円筒の応力分布からある程度説明することができる。
PDFファイル名 010-01-1069.pdf


検索結果へ戻る】 【検索画面へ戻る