種別 | 論文 |
主題 | コンクリートの炭酸化とその評価 |
副題 | |
筆頭著者 | 小林一輔(東京大学) |
連名者1 | 宇野祐一(ショーボンド建設) |
連名者2 | |
連名者3 | |
連名者4 | |
連名者5 | |
キーワード | |
巻 | 10 |
号 | 2 |
先頭ページ | 431 |
末尾ページ | 436 |
年度 | 1988 |
要旨 | はしがき コンクリートの炭酸化の速度に影響を与える要因としては、湿度、温度、CO2濃度などの環境要因と、セメントの種類、混和材料、水セメント比、養生条件、締固めの程度などの材料.配合および施工的な要因に大別され、これらの要因効果を明らかにした研究報告は内外を通じて膨大な数になる。さらにわが国では中性化速度の推定式として、所謂"岸谷式"が一般的に用いられている。一方、この数年来、コンクリート構造物の劣化度調査が各方面で盛んに行われるようになり、これにともなって炭酸化深さの測定結果を明らかにした報告書も数多く公表されているが、これらの中には最近、実際の構造物のコンクリートの炭酸化速度が、岸谷式による推定値に比べて異常に大きいことを指摘しているものが目立っている。この原因として各報告は施工不良などによるものであろうとしているが、本文はこれ以外にコンクリートの炭酸化を著しく促進する要因としてコンクリート中のアルカリがあり、しかもこの影響は孔隙水の移動が活発に行われる部位に顕著にあらわれることを指摘したものである。本文ではさらに以上のような条件が揃った構造物のコンクリートには異常に進行した炭酸化とともに、その表面に種々の析出物(白華、エフロレッセンス)が多く認められること、炭酸化が進行すると、セメント硬化体組織としてのC-S-Hの分解をともなうことがあることを明らかにしている。 むすび 本論文は、コンクリートの炭酸化を支配する要因として、コンクリートの孔隙水のpHとその移動があることを指摘したものである。孔隙水のpHはコンクリート中の水溶性のNaイオンとKイオンの量によって支配され、孔隙水の移動のしやすさはコンクリートのPorosity、例えば水セメント比や養生条件などによって左右される。本論文ではさらに孔隙水の移動がアルカリの濃縮を引き起こし、このことが炭酸化を一層促進させるとともに、これとエフロレッセンスとの相互関係を明らかにした。 |
PDFファイル名 | 010-01-1076.pdf |