種別 論文
主題 セメント水和物によるモルタル細孔溶液中のCl-固定のメカニズム
副題
筆頭著者 米澤 敏男 (竹中工務店)
連名者1 V. Ashworth ( G.C.C.L t d.)
連名者2 R.P.M.Procter(U.M.1.S.T.)
連名者3
連名者4
連名者5
キーワード
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先頭ページ 475
末尾ページ 480
年度 1988
要旨 はじめに
コンクリートやモルタルの練り混ぜ水に添加されたCl-や外部から浸入したCl-が、セメント中のC3A水和物やC4AF水和物により、たとえばC3A・CaCl2・12H2Oのような複塩として固定されることが、従来しばしば報告されてきた。セメント水和物により固定されるCl-の量を知ることは、鉄筋の腐食の研究や対策の立案において重要であるのみでなく、筆者らの研究〔1〕によれば、Cl-が固定される結果、細孔溶液中のOH-濃度が上昇するのであり、Cl-の固定は、アルカリ骨材反応の研究においても重要な課題と考えられる。しかし、セメント水和物によってCl-が固定されるメカニズムには依然として不明の点が多い。すなわち、1)先に述べたCl-固定にともなうOH-濃度上昇、2)古くはRobertの実験〔2〕最近ではDiamondの実験〔3〕に見られるようにCl-の量が多い場合でも少ない場合でも固定されたCl-と自由なCl-との間にある平衝か存在する、3)Diamondの実験に見られるようにNaClを添加した場合とCaCl2を添加した場合とで細孔溶液中のOH-濃度が相違する、等の諸現象を矛盾なく説明し得る理論は、今の所、提案されていない。この研究はNaClを添加したモルタルの細孔溶液を高圧容器により抽出し、細孔溶液中のOH-、K+、Na+、Cl-の各イオンの濃度変化を調べた結果に基づいてCl-が固定されるメカニズムに関する考察と新たな提案を行ったものである。
結論
Cl-固定に関し、次の4つの現象が生じている。(1)モルタルにNaClを添加した時、Cl-は固定されるがNa+は固定されない。(2)固定されたCl-と自由なCl-とは、図-6に示す平衡関係を有する。(3)Cl-が固定されるとOH-濃度が増加する。(4)固定されるCl-の量とOH-の濃度増加量とはほぼ等しい。上記4つの現象を説明しうるCl-固定のメカニズムとして次式によるCl-とOH-とのイオン交換反応を提案する。このメカニズムはまた、NaClを添加した場合とCaCl2を添加した場合とで細孔溶液中のOH<sup>-</sup>濃度が異なるというDiamondの実験結果をも説明しうるものである。R-OH-+Na++Cl-→R-Cl-+Na++OH-
PDFファイル名 010-01-1084.pdf


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